医学界新聞

 

「ヒト胚に関するシンポジウム」開催


 さる2月8日,東京都港区の虎ノ門パストラルにおいて,「ヒト胚に関するシンポジウム」が開催された。このシンポジウムは昨年12月26日に総合科学技術会議の生命倫理専門調査会がまとめた「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」の中間報告書について,市民のパブリックコメントを求める一環として開催されたもの。
 シンポジウムでは,まず前会長の井村裕夫氏(総合科学技術会議・京大名誉教授:写真)が「ヒト胚の定義」と国内外における議論・規制を紹介した後,「ヒト受精胚は人間そのものではないが,“人の生命の萌芽”として,その尊重が求められる」という調査会の大勢的見解を報告した。また,ヒトクローン胚作成については再生医療への応用研究に限り認めるべきとの意見と,科学的知見・国民的理解が十分得られるまでモラトリアム期間を置くべきという慎重的な意見に分かれたこと,着床前診断については「きわめて重篤な遺伝性疾患に関する場合のみ認める」方向であるとした。
 発表後,会場に集まった参加者からは非常に多くの質問・意見が出され,その中には難病や障害を持つ当事者団体もあり,この問題に関する社会の関心の高さを再認識するシンポジウムとなった。