医学界新聞

 

第8回慶應医学賞授賞式が開催される


 さる12月3日に,慶應義塾大学医学部北里講堂において,第8回慶應医学賞授賞式が行なわれた。受賞者はRonald M. Evans氏(Howard Hughes Medical Institute:写真右),ならびに宮下保司氏(東大:写真左)。
 Evans氏は核内受容体の研究で知られ,これまでに48種類の核内受容体について構造および機能解析に成功している。氏によって最近同定された新規核内受容体PPARγ,PPARδは脂質代謝にかかわり,肥満などの生活習慣病に対する分子標的治療の可能性として注目されている。
 宮下氏は霊長類において,図形を記憶する神経細胞を発見。海馬での記憶形成や記憶の想起における前頭葉の機能解明において優れた業績をあげている。受賞記念講演では「眼で見た映像は網膜を経由して側頭連合野に伝わり,記憶からイメージを生成する場合は前頭葉が側頭連合野を刺激する」と述べ,「見る」と「想像する」の違いを具体的に説明。今後の課題として「自己と他者の認知メカニズムの解明」,「霊長類からヒトへの知性の進化」をあげ,認知神経科学におけるさらなる発展の可能性を示唆した。