医学界新聞

 

LPC国際フォーラム開催される


 (財)ライフ・プラニング・センター主催のLPC国際フォーラムが,8月9-10日の両日,聖路加看護大学ホールにおいて開催された。今回は,「高齢者医療の新しい展開――健康の維持・増進から終末期医療まで」をテーマに,臨床の現場から地域医療,行政までさまざまな実践場面を通して高齢者のQOLの方向性が話し合われた。
 初日には,日野原重明氏(聖路加国際病院:写真)が「わが国における新老人の現状と未来」と題して基調講演。後期高齢者の余命を日米で比較した際,アメリカのほうが日本より余命が長いことをデータで提示。「これからの老人問題は65歳ではなく,もっと上の年齢層を考えるべきだ」と強調。特に,痴呆への対応や口腔ケア,廃用症候群や褥瘡の予防などを重点課題としてあげた。また,氏自らが提唱した「新老人の会」についても説明。発足後3年弱で会員(75歳以上)は3000人弱に達した本会で,老化のメカニズムを検証し,「成功加齢」を明らかにしたいと意気込みを語った。
 また,海外からはDiane E.Meier(Mount Sinai School of Medicine),Ivo L.Abraham(University of Virginia)の両氏が招かれ,それぞれ「緩和ケアと慢性疾患:痴呆をモデルケースにして」「高齢者医療におけるナーシングの拡大された役割:高齢者ナーシングの再考」と題して講演。米国の高齢者医療の現状からケアの指針が示され,超高齢者社会を迎える日本にとっても示唆に富む内容となった。