医学界新聞

 

新研修制度実施に向けて急ピッチ

マッチング実施,研修評価システムの概要発表


マッチング協議会が発足へ

 来年からはじまる新しい臨床研修制度では,研修病院と研修希望者の組み合わせをコンピュータで決定する「マッチング」が導入される。さる7月16日に,その事業概要(案)が明らかにされた。これによれば,マッチングは日本医師会,医療研修推進財団,全国医学部長病院長会議,臨床研修協議会の4者により構成される医師臨床研修マッチング協議会(仮称,以下協議会)」により,実施される。協議会には各構成団体の代表,医療関係団体関係者,有識者等からなる運営委員会が設けられ,事業の運営方針が検討されるという。また,協議会は,マッチング前後の参加者支援事業も行なうとしている。
 マッチングでは,参加者(医学生)と参加病院双方が,協議会の定める手続き(スケジュール,参加登録,希望順位表の提出,決定した組み合わせに従った仮契約)に従う旨の参加契約を結ぶことになる。その参加登録は8月上旬に行なわれる模様だ。厚労省は研修病院の8-9割がマッチングに参加するものとみている。

研修評価システム,研修評価機構

 一方,翌7月17日には国立大学附属病院長会議常置委員会の評価システム作業班が基本設計した「オンライン卒後臨床研修評価システム(EPOC)」の第1回説明会が行なわれた。EPOCはインターネットを利用した研修評価システムで,(1)厚労省研修目標に準拠,(2)無料(予定),サーバーやソフトも不要,(3)協力病院・施設からもリアルタイムアクセス,(4)確保されたセキュリティ,(5)カスタマイズが可能,などの特徴がある。今後シミュレーションを重ね,来年4月から稼動させる予定だ。
 なお,本システムは,研修医の研修評価だけでなく,研修管理(指導医評価,研修診療科評価,研修施設評価)も可能なものとなっている。開発の責任者を務める田中雄二郎氏(東医歯大教授)は「研修の質の向上に積極的に活用してほしい」と述べた。
 また,同説明会では,西岡清氏(東医歯大附属病院長)が,全国医学部長病院長会議の新臨床研修制度関連事業について言及し,同会議は「マッチング実施委員会」を設置し,マッチングについての情報提供や相談窓口の開設を行なう他,研修医や学生の意見を収集・集約し,マッチング実施機構へ反映させる役割を担うとした。さらに,西岡氏は「臨床研修が適切に行なわれているか,評価を行なうことが大切だ」と述べ,同会議を中心に「卒後臨床研修評価機構」を設置する計画であることを示した。