医学界新聞

 

新シリーズ 私はこうして研修病院を選んだ

医学生へのアドバイス      長谷川 真(三井記念病院研修医2年)




長谷川 真
慶大理工学部卒。医療機器製造業勤務を経て,東海大医学部に学士入学。在学中に米国ノースカロライナ州ウェイクフォレスト大学医学部に留学し米国医学教育のすばらしさに感銘を受ける。多数の病院を見学後,「主治医としての自覚が研修の質を高める」と感じ三井記念病院で内科研修中。
(1)どのような基準で研修病院を選んだか?
 研修を受けたことがない段階で,研修プログラムの良し悪しを判断するのは非常に困難だと思います。また,色々なプログラムが計画されていても,実際に機能しているかどう見極める必要があると思います。大事なことは,その施設でトレーニングを積まれた医師に対しどのような印象を持つかということだと思います。患者様に接する態度,conferenceでのpresentationなどはその施設の教育方針が滲み出るのではないでしょうか。そこで,「私もこうなりたい」と感じることを大切にすべきです。
 また,多くの施設を見学することで,必然的に目は肥えてくると思います。「研修するかどうかは未定であるが,一度見学しておく」という経験は,後々生きてくるのではないでしょうか。施設を自由に見学できるのは学生の特権でもあると思います。その他に,研修医の先生の本棚を観察することをお薦めします。HarrisonやBraunwaldなど一流の教科書が置かれているのか。さらに本紙4月号(2532号)掲載の「研修先をどう選ぶ?」を参考にされることをお薦めします。

(2)情報収集はどうすべきか?
 まず,すぐできることは,病棟にロールモデルになりそうな医師を発見し話をしてみることだと思います。その先生がどういった施設でトレーニングを積まれたのか,参考になるのではないでしょうか? あるいは,実際に今はどの病院が教育に熱心に取り組んでいるのかを質問してもよいと思います。そして実際に見学してみる。この作業を繰り返すことだと思います。

(3)病院実習にあたってのアドバイス
 実習を開始した時点,すなわち病院に行き白衣に袖を通し,名札を着けた瞬間から実習は始まっていて,採用する側とされる側の真剣勝負が始まっていると考えるべきです。また,患者様は,学生が市中病院に見学に来ていることは知らないことが多いと思います。白衣を着た時点から病院staffの一員として立ち居振舞うことが大事だと思います。挨拶を欠かさないこと,そして実習を終えた後には,お礼の手紙を書くことをお薦めします。

(4)試験・面接に臨む際のアドバイス
 見学に行った時点である程度,勝負はついていると考えたほうがよいかもしれません。採用したい学生には,「採用試験を受けてみませんか」と,声がかかることもあるようです。そうなればしめたものです。EBMの時代とはいえ,見学に行った施設の先生が執筆されている教科書を読むのも役に立つと思います。