医学界新聞

 

「事例に使ってみよう!NANDA&NOC&NIC」をサブテーマに

「第7回NDC看護診断公開セミナー」を開催して

永田 明(日本赤十字看護大学大学院 看護学研究科修士課程)


「NDC看護診断公開セミナー」とは

 「第7回NDC看護診断公開セミナー」(主催=「NDC」)が,さる3月21日,日本赤十字看護大学で開催され,全国より約250名の看護師が参加した。
 本セミナーを開催した「NDC」とは「Nursing Diagnosis Conference(看護診断研究会)」の略であり,黒田裕子氏(北里大学看護学部教授)を代表として約30名の看護師から組織されている。
 NDCは毎月の定例会の他に,年1回の公開セミナーを開催しているが,「看護診断を実践に活かす!」を一貫したメインテーマとしており,7年目となる今年のサブテーマは「事例に使ってみよう!NANDA&NOC&NIC」であった。
 今回のセミナーでは,昨年開催された「第8回日本看護診断学会学術大会」においてNDCが担当した事例セッションの結果を検討し,参加者がより積極的に参加できるようにと企画された。

教育講演:「NANDA&NOC&NICの基本的な理解」

 当日の午前中は,黒田裕子代表の教育講演が「NANDA&NOC&NICの基本的な理解」というテーマで行なわれた。
 この講演では「NANDA看護診断」をはじめとする「看護実践用語開発の背景と経緯」,「NANDA看護診断分類法 II の構造」,「看護診断名の定義・診断指標・関連因子」の意味について説明された。さらに看護過程の中で「NANDA&NOC&NIC」がどのように位置づけられているのかが解説され,「NANDA&NOC&NIC」を正しく使っていくためには,これらを着実に理解する必要性が強調された。

4つの事例別に行なわれた「グループワーク」

 グループ・ワークは,「急性期」,「慢性期」,「リハビリ期」,「終末期」の4つの事例別に行なわれた。
 参加者には本セミナー開催の1か月前に,事例とNDCが考えたアセスメント結果および全体像,看護診断が送付されていた。そして,これらを基礎的な資料としながら事前課題が参加者に提示されていた。
 特定された看護診断に対する看護成果と看護介入を参加者自身も考えた上で,参加する形態となっていたために,準備性が高い状態で討議がなされていった。
 「急性期事例」は大動脈弓部人工血管置換術2日目にある77歳の男性であった。NANDA看護診断は“ガス交換障害”と“急性混乱”の2つが取り上げられ,これらに対するNOCとNICの選択について検討がなされた。
 「慢性期事例」は II 型糖尿病の54歳の男性であった。NANDA看護診断は“非効果的治療計画管理”と“感染リスク状態”の2つが取り上げられ,これらに対するNOCとNICの選択について検討がなされた。
 「リハビリ期事例」は右被殻梗塞の59歳の男性であった。NANDA看護診断は“ボディーイメージ混乱”と“歩行障害”の2つが取り上げられ,これらに対するNOCとNICの選択について検討がなされた。
 「終末期事例」は左乳ガン術後,左鎖骨上リンパ節転移,骨転移,肺転移の66歳の女性であった。NANDA看護診断は“慢性疼痛”と“自己尊重状況的低下”の2つが取り上げられ,これらに対するNOCとNICの選択について検討がなされた。
 参加者の中には,すでに現場で「NANDA&NOC&NIC」を導入している者もあり,とりわけNOCおよびNICの事例への適用法については活発に意見交換がなされた。
 また,参加者個々に興味のある領域を選択し,4つの事例別にグループワークが行なわれたことも意義があったと思われた。

本年も「日本看護診断学会」で事例セッションを担当

 1日という制限で行なわれたために時間不足もあったが,「NANDA&NOC&NIC」を事例に適用していくプロセスについて基本的な理解が成されたものと思われた。
 参加者からは「新鮮な勉強ができた」「NOCとNICについてはまったく知らなかったがよくわかった」などの声も聞かれた。NDCは,本年6月14-15日に開催される第9回日本看護診断学会(福岡)の事例セッションを担当することともなっており,本セミナーの結果を生かし継続的に活動していく予定である。