2002年度保助看国家試験合格者発表
昨年から一転,合格率は軒並み上昇

本年の保健師国家試験合格者数は7454名と,昨年に引き続いての大幅増となり,合格率も91.5%(昨年83.5%)と,大幅に上昇。一方,助産師国家試験合格者数は1531名とほぼ横ばいであったが,合格率は89.2%(昨年88.3%)と,昨年に比べやや上昇が見られた。2001年より合格率の低下が目立っていた看護師国家試験合格者数は4万9714名と増加し,合格率も92.6%(昨年84.3%)と大幅に上昇。2000年以来の合格率90%を超える結果となった。
なお,昨年に引き続いて厚生労働省は「合格基準」を公表(別掲)。その他,いわゆる「不適切問題」についても,保健師,助産師,看護師の各国家試験にそれぞれ1題ずつを認め,複数回答を正解扱いとする措置をとった(合格者状況一覧)。
大きな混乱なく
昨(2001)年度の試験では,「不適切問題」として保健師国家試験で4題,助産師国家試験で2題,看護師国家試験で9題が採点除外とされるなどの措置がとられるという異例の事態が生じ,国家試験としての問題のあり方が各メディアでも大きく議論された。こうした経緯から特に注目を集めた今年度の国家試験であったが,今回は合格者からも「過去問を勉強したが,去年までよりは基本的な問題が多く,やさしい印象だった」といった声が多く聞かれたように,難易度の高い問題は減少,前記のように「不適切問題」も各試験1題ずつとなり,それぞれの試験における合格率も軒並み上昇するなど,混乱の少ない試験問題だったといえる。また,例年,養成機関による合格率の差が指摘されている看護師国家試験だが,合格率は3年課程の機関で97.1%,2年課程の機関で94.1%と,大きな差は見られない結果となった。その一方で2年課程既卒者の合格率は65.7%と,昨年(50.3%)より上昇は見られたものの,依然として低い傾向は続いている。

保助看国家試験合格者数・合格率の推移 | ||||||||||||||||
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●2002年度保助看国家試験の合格基準
(厚生労働省)
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国家試験の改善
今回の試験では,医道審議会保健師助産師看護師分科会の保健師助産師看護師国家試験制度改善部会報告書でも「受験生が解答のために十分な時間を使えるよう,2003年から試験時間を適宜延長することが望ましい」とされていた通り,一般問題の試験時間を15分間延長。このような改善点も受験生にとって試験に取り組みやすい要素の1つになったとみられる。また,同報告書によれば次回(第93回)の看護師国家試験から,「看護師として特に基本的かつ重要な試験問題」として30題の必修問題が導入される。その内容としては,(1)看護の社会的側面および倫理的側面に関する問題,(2)看護の対象者および看護活動の場に関する問題,(3)看護に必要な人体の構造と機能および健康障害と回復についての基本的知識に関する問題,(4)看護技術についての基本的な知識に関する問題,があげられている。必修問題の導入に伴い,総出題数も現行の210題から240題へと増加するとしている。
2003年(2002年度)保助看国家試験合格状況一覧
(解説記事)
●第92回看護師国家試験合格状況
![]() ●第89回保健師国家試験合格状況 ![]() ●第86回助産師国家試験合格状況 ![]() |