医学界新聞

 

高松宮妃癌研究基金2002年度学術賞
および研究助成金贈呈式が行なわれる


 高松宮妃癌研究基金による,2002(平成14)年度学術賞および研究助成金贈呈式が,さる2月22日に,東京・大手町のパレスホテルにおいて行なわれた。高松宮妃癌研究基金は,親族を癌で亡くし,癌の制圧を強く願う高松宮妃が名誉総裁となり1973年に発足したもの。優れた癌研究に対する助成事業を行なっているほか,毎年主催する国際シンポジウムは世界的に高い評価を受けている。
 贈呈式では,「遺伝性発がんラットの発がん分子機構」を研究業績として評価された樋野興夫氏(癌研)と,「5-フルオロウラシルの生化学的修飾による新しい癌化学療法の開発に関する研究」の研究業績で評価された白坂哲彦氏(病態医科学研究所長)の両学術賞受賞者が,それぞれの研究概要を説明。引き続いて同基金総裁を務める寛仁親王が学術賞および研究助成金を各受賞者に授与するとともに,「患者と医師とが十分コミュニケーションをとれるような医療を」と今後の医療への期待を述べ,「本基金をベースに,わが国の癌に関する医学・治療が世界の最高水準であるよう,ご尽力いただきたい」と挨拶した。これを受け,謝辞の中で樋野氏は,「癌研究は研究者だけのものではない」と,一般の人々に与える影響も大きいことを強調。また自身も,「癌細胞研究の普遍性を通して,臨床との掛け橋となりたい」と決意を述べた。