医学界新聞

 

EBM普及推進 公開討論会開催


 

 厚生労働省主催によるEBM普及推進公開討論会が,さる2月14日に,東京・新橋のヤクルトホールにおいて,「根拠に基づく医療のあるべき姿-EBMの理解と活用を進めるために」をテーマに開催された。本討論会は,近年日本でも広まりつつあるEBMという考え方について,臨床系学会の立場,EBMを実践する臨床医の立場,そしてEBMに期待する国民(患者)など立場から,根拠に基づく医療の今後のあるべき姿や実践上の諸課題などについて討論を行なうために企画された。
 討論を始めるにあたり,座長の黒川清氏(東海大教授)は,「社会の情報化,グローバル化に伴い,医師がどのような根拠で診療を行なっているのかが問われる時代になってきた」と指摘し,「EBMは新しい時代の課題」であるとの認識を示した。討論では,四宮謙一氏(日本整形外科学会)と藤島正敏氏(日本高血圧学会)が,それぞれ学会の立場から主に診療ガイドラインについて話した他,柳澤正義氏(国立成育医療センター)と生坂政臣(生坂医院)が,臨床家にとってのEBMについて述べた。また,児玉安司氏(東海大教授)と鈴木利廣氏(患者の権利オンブズマン全国連絡会代表)が,弁護士の立場から医事紛争や医療裁判とEBMの関係について,さらに石田久人氏(ジン・ネット ディレクター)と飯野奈津子氏(NHK解説委員)は,メディア・市民の立場から患者の期待するEBMの役割などについて発言を行なった。黒川氏は「EBMの普及は社会と一緒によりよい医療を実現するための一歩だ」と述べ,本討論会を結んだ。