医学界新聞

 

第7回慶應医学賞授賞式が開催される


 第7回慶應医学賞授賞式が,昨(2002)年11月28日に,東京・新宿区の慶應大学北里記念医学図書館において開催された。本賞は,1994年に同大学の卒業生である坂口光洋氏(1940年卒)からの寄付を受けて設置された「慶應義塾医学振興基金」による基金事業として創設され,1996年より「世界の医学・生命科学の領域において医学を中心とした諸科学の発展に寄与する顕著,かつ創造的な研究業績をあげた研究者を顕彰することにより,世界の医学・生命科学の発展に寄与し,人類の幸福に貢献する」ことを目的として授賞を行なっている。
 臨床医学の発展に寄与する研究に特に焦点を当てたとされる第7回の受賞者は,「Helicobacter pyloriの分離培養と診断,治療法の確立」の業績により,消化性潰瘍の診断・研究にパラダイムシフトをもたらしたことが評価されたBarry Marshall氏(豪・Western Australia大教授),および「生体肝移植の確立とその適応展開」をテーマに,世界的にその技術を普及・教育した功績を認められた田中紘一氏(京大教授)の2名。受賞の挨拶でMarshall氏は,「重要な発見が基礎研究から生まれるのも事実だが,今回のように臨床分野から受賞者が選出されるのは大変おもしろい」と語り,一方田中氏は「受賞を機に今後も,臨床と基礎の融合をめざしていきたい」と抱負を述べた。