医学界新聞

 

「第2回CRCと臨床試験のあり方を考える会議 2002 in 横浜」開催


 「第2回CRCと臨床試験のあり方を考える会議 2002 in 横浜」が,さる10月11-12日に,小林真一氏(聖マリアンナ医大)のもと,横浜市のパシフィコ横浜で開催された。会場には1000人を超える医師,看護師,薬剤師らが参集した。
 本会では,特別講演に富田有一氏(文部科学省)と別井弘始氏(厚生労働省)が,それぞれ登壇。別井氏は,今年7月の薬事法改正による「医師主導により治験制度」や,世界レベルの医薬品・医療機器開発をめざす「大規模治験ネットワーク(案)」など,厚生労働省の「医薬品産業ビジョン」による治験推進政策を概説。その中で,「全国でCRCを5000人に増員する」ことが示された。

CRC養成と臨床試験の充実

 シンポジウム「CRCの活動と養成の方向性」(司会=日本看護協会 徳永悌子氏,山口大 神谷晃氏,写真)では,臨床試験を取り巻く環境が大きく変化する中,質の高いCRC養成に向けて議論がなされた。
 最初に松木祥子氏(慈大病院治験管理室)は,治験の倫理的補償と被験者のケアについて,CRCの役割は被験者ケアの調整をスムーズに行なうことと定義。有害事象にはいち早く迅速に対応し,まず治験者のデメリットを少なくし,医師や企業側へのフィードバックが重要とした。
 大橋靖雄氏(東大,日本臨床研究支援ユニット)は,「データマネジメントとCRC」と題して,効率的な臨床試験には,能力の高いCRCの養成と,ネットワークを活用したデータマネジメントシステムの構築が必須と強調。特にCRC養成の動きとして,SoCRA(Society of clinical research associates)日本支部やパブリックヘルスリサーチセンターが支援する乳がん臨床研修支援事業による活動を紹介した。続く西原茂樹氏(岡山大治験センター)は,治験におけるプロトコール違反が起こった場合のCRCの対応の在り方を述べた。
 また,日本のCRCの第一人者である大泉京子氏(聖マリアンナ医大)は,CRC教育に関して言及。「CRCは実践である」との視点から,CRCに求められる役割と能力を明確にした上での教育計画の必要性と,実際の業務から継続的・自己的な教育を行なうためには,個々の学習を組織として支援する体制作りが重要と強調した。

認定CRCの誕生に向けて

 最後に登壇した中野重行氏(大分医大臨床薬理センター)は,「CRCの認定と養成の方向性」として,日本臨床薬理学会による「CRCのための研修ガイドライン」(臨床薬理33(1)27E-30E,2002)と,2004年実施をめざして新たに設置されたCRC認定制度を紹介。認定CRCは,実績と実務経験が重視され,受験資格は2年以上,週40時間のCRC活動が必要となる。これまでのCRC活動が認められた人は過渡的措置として試験を受けずに取得が可能であるなどの方向性が示された。
 一方,シンポジウム「CRCからみた治験実施上の問題点」では,実際のCRC活動上問題となる,(1)プロトコール(町田市民病院 井草千鶴氏),(2)被験者リクルート(国立国際医療センター 中村直子氏),(3)有害事象への対応と補償(金沢大臨床試験管理センター 古川裕之氏),(4)モニタリング・監査(熊本大治験支援センター 石橋寿子氏)の4点に焦点が当てられた。