医学界新聞

 

救命率向上のために医学生ができること

東医歯大ACLS勉強会が市民向け救急救命法講習会を開催


 本年4月および7月,東京の東京医科歯科大で,医学生グループによる市民向け救急救命法講習会が開催された。
 講習会を開いたのは,東京医科歯科大,東京女子医大,順天堂大,昭和大などの学生が参加する東京医科歯科大学ACLS勉強会のメンバー。代表(当時)の新井薫さん(東医歯大6年)は,「蘇生に必要不可欠と言われる『心肺停止から4分以内の救命処置』は病院スタッフや救急隊員がどんなにがんばっても達成できない。ACLSの自主勉強会を行なう中で,By‐Stander CPR(そばにいる人の救命処置)の重要性を認識し,その普及に医学生でも役立てないだろうかと考え,市民向け講習会をやってみようと思った」と,開催の動機を話す。磯部光章氏(東医歯大教授)らの協力もあり,2月から具体的な準備を始め,4月に第1回の開催に漕ぎ着けた。
 講習会は5回行なわれ,合計53人の参加者を得た。広報を担当した長谷川健さん(順大6年)によれば,病棟掲示板や文京区内の掲示板,薬局へのポスター掲示,ホームページの開設を行なった他,第5回目の開催時には,FMラジオのJ-WAVEの番組「Good morning Tokyo」の中でも紹介してもらったという。第5回目の参加者(21名)のほとんどは,J-WAVEの番組を聞いて参加していた。

参加者の声から手応えを感じる

 参加者には本講習会は概ね好評で,特に「他での講習と違い,医学的な理由と一緒に(処置を)教えてもらえてよかった」などの声が多く聞かれた。講義を担当した戸田重夫さん(東医歯大6年)も「受講された市民の方から後日,メールをいただいたり,うれしく思う」と話す。
 本講習会の顧問を務め,医学生たちをサポートした南郷栄秀氏(虎ノ門病院分院)は「救急救命処置はベテランの医師のほうが知らない場合も少なくない。若い人たちの積極的な取り組みで,日本の医療を変えていってほしい」とこのような活動の広がりに期待している。