医学界新聞

 

診療報酬改定「未実施減算」の10月実施

看護部門の積極的な関与が重要な役割に


平成14年診療報酬改定

 「初のマイナス改定」との評が強く表われた本年の診療報酬改定は,「(1)効率的な医療提供体制の確保,(2)患者の特性に応じた医療の評価,(3)医療技術の適正評価などの観点から,所要の見直しを行なうとともに,体系的な見直しを進める観点から,長期入院にかかわる保険給付の範囲の見直しや,特定機能病院等における医療機関別包括評価の導入,患者ニーズの多様化に対応するための特定療養費制度の見直し等を行なう」などの基本的な考え方に基づき実施された。
 その主な改定内容は,(1)では入院医療の評価として,入院医療の機能分化を図り,特定機能病院における医療機関別包括評価の導入が図られ,患者の疾病に応じた医療機関別の包括払いを原則とする方式となった。またかかりつけ薬局の機能評価を含む,再診料・外来診療料等の外来医療の評価見直しも行なわれた。
 一方(2)においては,小児・精神・難病患者等の評価見直しが行なわれ,特に難病患者に対する訪問看護の拡充や,悪性腫瘍患者への緩和ケア診療の評価充実が図られた。

10月実施の医療安全対策等の評価

 また,入院基本料等の見直しでは,平均在院日数要件が,(1)一般病棟基本料1(看護職員配置2:1)では25日以内が21日以内に,(2)一般病棟基本料2(看護職員配置2.5:1)では28日以内が26日以内に,また急性期入院加算・急性期特定入院加算は20日以内が17日以内となり,本年10月からの実施となる。なお,看護体制に関連しては,夜間看護体制の見直しから,看護配置10:1評価が新設された(72点/日)。
 その他に本年10月から実施される評価としては,医療安全対策等の評価を新設。「医療安全管理体制の整備や褥瘡対策が行なわれていない場合には,入院基本料から減算する」ことが明記された。この主旨は,医療機関が職業横断的な取り組みを実施することで,医療サービスの向上をめざすもので,看護部門の積極的な関与が体制整備に重要な役割を担うとされている。
 なお,医療安全管理体制未整備減算は,マイナス10点/日,褥瘡対策未実施減算はマイナス5点/日となっている。今回の改定で減算を受けないための要件としては,前者では,(1)安全対策のための指針整備,(2)医療事故等の院内報告制度の整備,(3)安全管理のための委員会の開催,(4)職員研修の実施などがあげられている。また後者では,(1)褥瘡対策にかかわる専任の医師・看護師(各1名以上)から構成される褥瘡対策チームを設置する,(2)日常生活の自立度が低い入院患者について,褥瘡対策に関する診療計画を作成し,褥瘡対策を実施する,(3)体圧分散式マットレス等を適切に選択し,使用する体制を整備する,が提示されている。なお,(1)の専任看護師としては,「WOC認定看護師」「ETナース」がその役割を担いやすいが,専任チームとして活動した時間は病棟勤務者数から除外される等の規定がある。また,(3)に関してはマットレスの購入や運用費用を患者に負担させてはならない,等の規制もある。

●「褥瘡対策」のための最新参考文献
「訪問看護と介護」(2002年7月号,8月号,医学書院)
「褥瘡対策の指針」(照林社,2002)
「EBN思考の褥瘡ケア-ケースリポートを中心に」(日本看護協会出版会,2002),他