医学界新聞

 

第13回「理学療法ジャーナル賞」決定


 第13回「理学療法ジャーナル賞」の授賞式が,さる2月23日,東京・文京区の学士会館分館で開かれた。
 同賞は,『理学療法ジャーナル』誌に掲載された論文の中から,同誌の編集委員会が優秀論文を選び顕彰するもの。今年は『入賞』に「下肢スポーツ障害の評価におけるアライメントと筋力の検討」(日本鋼管病院リハビリテーション科・川島敏生氏),『準入賞』に「頸椎椎弓形成術術後における装具使用下での早期運動療法の経験」(国立熊本病院機能訓練室・井上慶子氏,他),『奨励賞』に「左半側空間無視を呈した1症例に対するリハビリテーションアプローチによるADLへの影響」(湘南鎌倉総合病院リハビリテーション科・江口瑠美氏,他)がそれぞれ選ばれた。
 受賞論文の「下肢スポーツ障害の評価におけるアライメントと筋力の検討」は,昨今注目を浴びつつあるスポーツ障害領域における,健常者とACL(膝前十字靭帯)症例を対象とした評価に関する研究で,3次元解析,アイソキネティック測定装置による筋力測定を中心としたものである。
 授賞式では,編集委員委員会を代表して網本和氏(都立保健科学大)が,「このような定量的な測定を,症例を含む多数に行なうことは,それだけでも大変なご苦労があったのではと推察する。結果については,予想に反して筋力項目にしか差を認めなかったとのことだが,“考察”でいみじくも述べられているように,スタティックアライメントのみで動的アライメントを推定することの困難を指摘された点は重要であろう」と選考経過と授賞理由を述べた。
 一方,準入賞の論文は,「日常臨床の中に埋もれがちな地道な成果を論文にまとめあげた」との講評を,また,奨励賞の論文は,「群研究では目配りが届きにくいこまやかな個別的な治療アプローチの検証であり,このようなデザインの研究の可能性と1つの典型を示すもの」との講評を得た。
 すでにPT歴20数年のベテラン理学療法士である川島氏は,受賞者を代表して,「投稿して膨大なコメントが付けられて戻ってくると,なぜ執筆意図を理解してくれないのだろうとガッカリする。しかし,しばらくたって気を取り直して,コメントに沿って論文の修正を試みると,論旨が明快になってよい論文になってくるのが自分でもわかる」と受賞の喜びを語った。