医学界新聞

 

第18回日本国際賞受賞者決定

「発生生物学」分野で2名が受賞


 

 2002年(第18回)の日本国際賞の受賞者が決定され,昨(2001)年12月13日に,東京・千代田区の経団連会館で発表された。本賞は,科学技術において独創的・飛躍的な成果をあげ,科学技術の進歩に大きく寄与し,人類の平和と繁栄に著しく貢献したと認められた人に与えられるもの。毎年,科学技術の動向等を勘案して,2分野が受賞対象分野に指定され,本年は森亘審査委員長(日本医学会長)のもと,「発生生物学」および「情報科学・技術」を対象に受賞者が選考された。
 「発生生物学」分野(部会長=JT生命誌研究館長/京大名誉教授 岡田節人氏)では,「哺乳類の発生生物学研究の開拓」を業績に,アン・マクラーレン氏(英・ウエルカムがん研)とアンジェイ・タルコフスキー氏(ポーランド・ワルシャワ大)が受賞。両氏は,マウスをモデル動物に,初期胚の培養操作技術を開発し,哺乳類の発生生物学の基礎を築いた。特に,キメラ胚の特性に注目し,初期胚の細胞が持つ発生運命についての著しい柔軟性を明らかにした。また性決定の機構,性を異にする両親から受け継いだ遺伝情報の異なった働き,発生過程における細胞間や組織間の相互作用など,哺乳類の胚発生の基本問題について解明の道を拓いた。
 なお,「情報科学・技術」分野では,「WWWの発明・実現・発展とそれによる文化への貢献」を業績に,ティモシィ・J・バーナーズリー氏(米・マサチューセッツ工科大)が受賞。また,明年の対象分野は,「医学における視覚化技術」と「複雑さの科学技術」。