医学界新聞

 

外来看護のあり方は,病院全体で考える必要が

第3回「外来診療刷新のためのセミナー」開催


 1999年より開始された,聖ルカ・ライフサイエンス研究所(日野原重明理事長)の研究事業の1つである,第3回「外来診療刷新のためのセミナー-21世紀を迎えて-わが国における外来診療の質を高めるための方策」が,さる10月12日に,東京・築地の聖路加看護大学講堂で開催された。
 同セミナーは,岩崎榮氏(日医大常務理事)の総合司会のもと,「外来刷新の現状から見えたこと」をテーマに,診療の立場から福井次矢氏(京大)と武田裕子氏(琉球大)が,看護の立場から井部俊子氏(聖路加国際病院)が,また,建築整備の立場から筧淳夫氏(国立病管研),事務の立場から渡辺明良氏(聖路加国際病院)が「研究報告と成果からの提言」を,また日野原理事長による講演「外来診療刷新の研究報告を受けて」が行なわれた。
 この中で井部氏は,本年7月と9月に行なった「看護基礎教育における外来看護に関する講義と実習についてのアンケート調査」の結果を報告。化学療法や日帰り手術が実施されるなど,外来機能の高度化,複雑化とともに外来看護の役割が増大しているにもかかわらず,看護系大学のカリキュラムの中に「外来看護の講義がある」は13大学(20.6%),「外来実習を実施している」は17大学(27%)であったとし,「外来看護」が教科目として位置づけられていないことなどを問題点にあげた。その上で,「看護の専門性と多様性を学習する上では,外来実習は有効である」と述べ,その受け入れ施設の環境整備の必要性を説いた。また,総括討議の場で井部氏は,「外来は病院の顔であり,患者トリアージを行なうなど,優れた対応能力が問われる場でもある」と,その機能を重要視。岩崎氏は,「外来看護のあり方を,チーム医療を基本に病院全体で考え変革していく必要があろう」と述べた。