医学界新聞

 

日本プライマリ・ケア学会

専門医認定試験にOSCE導入


 日本プライマリ・ケア学会では,認定医試験に初めてOSCE(Objective Structured Clinical Examination,客観的臨床能力試験)を導入した。日本では学会の認定医・専門医の資格取得に,種々の実技試験を課すのは初めての試み。
 試験が行なわれた6月24日は,症例報告などの書類選考を通過した8名が受験し,9つのステーションによるOSCEに取り組んだ(時間は1ステーションにつき15分)。
 今回与えられた課題は,成人,高齢者(診察,主治医意見書作成など),小児,外来小外科(豚足を使用),救急(救急シミュレーション「SimMan」を用いたACLS)で,プライマリ・ケア医に必要なさまざまな場面が設定された。また,成人,高齢者,小児については複数のステーションにわたって課題が続き,診察だけでなく,患者家族への説明・コミュニケーション能力などの能力も評価された。

臨床医としての能力を見極める

 専門医認定試験へのOSCE導入について,試験を統括した津田司氏(三重大教授・総合診療部)は,「筆記試験ではなく,本人の実際の臨床能力を評価でき,さらに臨床医としての能力を見極めることができる。この試験で認定された医師は,安心して受診できるかかりつけ医の目安となる。また時間を15分と長く設定したことで,複雑な思考過程を問うことができた。
 世界的にも,カナダの家庭医の専門医試験ではOSCEが導入され,またイギリスにおけるの家庭医の試験(模擬診療所で初診患者を診察),アメリカのCSA(Clinical Skills Assessment)など,実技を評価する傾向にある。今回の試験では,OSCEにより臨床能力の評価を十分に行なえたと思う」と語っている。
 なお,今回の受験者8名は,全員合格した。