医学界新聞

 

エビデンスに基づく効果的
実践のための講演・セミナー開催


 さる7月8日,国際医学・看護学会議センターの主催による「エビデンスに基づく効果的実践のためのリスクマネジメントと感染管理」講演・セミナーが,千葉市の幕張メッセで開催された。本講演・セミナーのプログラムは,(1)エビデンスに基づくリスクマネジメント(東医歯大 阿部俊子氏),(2)エビデンスに基づく感染管理(聖路加国際病院 柴田清氏),(3)創傷治癒・褥瘡ケア(オストミー・ウンド ケアコンサルタントサービス 永野みどり氏)の3題。
 阿部氏は,EBM(Evidence-based Medici-ne:科学的根拠に基づく医療),EBN(Evidence-based Nursing:科学的根拠に基づく看護),EBP(Evidence-based Practice:科学的根拠に基づく臨床)の違いや定義などを概説。また医療事故に関連し,豊富な資料を提示しながら,エラーを減少させる基本方策などをわかりやすく解説した。
 一方柴田氏は,聖路加国際病院のICUでは面会人の感染対策は,手洗いのみで,ガウン・マスクなどは着用をしていないことを紹介。「家族がマスクなどで顔を見せることのない面会は不自然。面会人は患者への医療行為をしないのだから,感染源とはならない」と述べた。また,聖域とされる手術室でも,床からの感染はないとの理由から,履物を履き替えていない実態が述べられ,感染対策の有効性の有無を,CDC(米・疾病対策予防センター)の調査報告などから証明。さらに,予防策としての「スタンダードプリコーション」を紹介した。
 永野氏は,創傷治癒過程を基本から解説するとともに,褥瘡ケアに関しては,これまでの常識とされていた概念と違い,大量の水による洗浄,湿潤環境での保持が有効であることを実証した。