医学界新聞

 

第3回日本医療マネジメント学会開催


 さる6月8-9日の両日,第3回日本医療マネジメント学会が,小林寛伊会長(NTT東関東病院長)のもと,「21世紀の医療サービスを考える」をメインテーマに,横浜市のパシフィコ横浜で開催された。
 同学会は,「クリティカルパス(以下,CP)の研究」を目的として1999年に発足。すでに会員は医師・看護職を中心に1950名を超し,一般演題の応募も年々増加しており,今回は昨年の倍以上の数となる190題の演題発表が行なわれた。なお,今学会では会長講演「21世紀の医療サービスを考える」をはじめ,特別講演「日本の医療制度改革の展望」(厚生労働省 迫井正深氏),基調講演「電子診療録をめざしたパス」(NTT東関東病院 深谷卓氏),シンポジウム1「医療の改善につながるパスの展開」,2「病院管理における院内感染の問題点」,3「リスク管理の実際と今後の問題」,4「患者満足度を高めるために」,およびパネルディスカッション「いま,医療連携を考える」などが企画された。

医療サービスの追求は医療人の責務

 会長講演を行なった小林氏は,「患者中心の医療,良質のチーム医療,患者のQOLを高める医療が,21世紀の医療」とした上で,「CPは医療サービスの1つのツールである」と述べるとともに,医療サービスを広くとらえて検討することが学会の発展に寄与し,CPの評価,改善,意義の増大につながる,とした。さらに,21世紀の医療サービスを追求していく上での基本的課題として,(1)患者サービスの因子分析と評価,(2)患者QOL向上のための施策,(3)リスク管理,(4)アウトカム評価による良質な医療の追究,(5)経済効率評価と改革,(6)物流システムの構築,(7)すべてに優先する倫理的配慮の7視点から考察。(1)に関しては,役割分担を重視したチーム医療や診療録の電子化の実践などをあげ,「患者中心の良質な医療サービスを追求していくことが医療人の責務であり,医療マネジメント学会の活性化は21世紀の医療サービスの向上に大きく貢献する」とまとめた。
 また,小西敏郎(NTT東関東病院),市川幾恵(昭和大)両氏の司会で行なわれたシンポジム1では,診療録の電子化,CPの積極的導入を図っているNTT東関東病院の依田安代氏が「CPによる患者中心の医療の展開」を発表。CPの患者サイドのメリットとして,(1)入院期間がわかる,(2)治療・ケア内容がわかる,(3)入院費用がわかる,(4)予定が立つ,(5)自分の病状がわかる,(6)患者自身ができる自己管理をあげた。
 なお,次回は明年6月28-29日の両日,岡隆宏会長(京都第一赤十字病院)のもと,岡崎市の京都会館を会場に開催される。