医学界新聞

 

第1回日本赤ちゃん学会開催される

――21世紀の「子ども観」の新たな構築


 さる4月21日-22日の両日,日本赤ちゃん学会第1回総会が,小西行郎会長(埼玉医大教授小児科)のもと,「育児を科学する」をテーマに,東京・新宿区の早稲田大学国際会議場において開催された。同学会は,日本乳児行動発達研究会を前身として,育児の科学をめざし,その成果を医療や教育などに活かすことを目的に,小児科医や心理学者,脳研究者,工学研究者らの参加のもと設立された。なお,理事長は小林登氏(東大名誉教授,国立小児病院名誉院長)。
 会長講演「赤ちゃんから学ぶ」では小西氏が,赤ちゃんの行動を徹底的に観察することから,従来の進化論に基づく子ども観を見直し,21世紀の「子ども観」を新たに構築しようと参加者に投げかけ,刺激を与えた。この他,「チンパンジーの赤ちゃんの生後1年間の発達」(京大霊長研 松沢哲郎氏)など特別講演3題と,「3歳児神話を検証する I -基礎医学の立場から」「同・II ――育児の現場から」などシンポジウム4題が企画され,両日とも「赤ちゃん」をめぐり熱心な討論が交わされた。広く一般市民の参加も募ったことから,教育・保育関係者,母親・父親など研究者以外の姿もめだち,会場は熱気に包まれるものとなった。