医学界新聞

 

移行教育の早期実施をめざして

第9回全国准看護婦・准看護士看護研究会開催


各県の取り組みを紹介

 さる1月27-28日の両日,山梨県の石和温泉・観光ホテル慶山において,第9回全国准看護婦・准看護士看護研究会(中島幸江会長)が開催された。記録的な大雪に見舞われた初日の27日には,石和温泉に入る交通機関がマヒしたにもかかわらず,准看護婦養成停止・准看護婦から看護婦への移行教育の早期実施をめざし,全国から150名が参集した。
 今研究会の総会では,役員の改選(全員が再選)などが行なわれた。また,続いて企画されたリレートークでは,各県ごとに行なわれている移行教育に向けた取り組みが,5府県から紹介された。主な取り組みは放送大学の受講,移行教育に関する学習会,移行教育110番などである。2001年4月より,放送大学で一部科目の講義が始まることもあり(移行教育開始後,単位として認定されるかどうかは未定),受講方法などに関して会場からは多くの質問が出された。しかし,熊本など活発な活動をしている地域があるものの,一方でまったく取り組まれていない地域もあり,会員の地道な努力に頼るほかないことの困難さが感じられた。

制度を変えるために必要な看護職の政治参画を示唆

 翌28日には,3分科会に分かれて10題の事例発表が行なわれた。その中で,准看護婦制度をテーマにした第3分科会には研究会参加者の過半数が出席。特に,会員外の久我直子氏(群馬大医学部保健学科学生)による「医師会が考える准看護婦制度」と題した演題発表が注目を集めた。
 久我氏の研究は,「医師会の准看護婦制度に対する考え方を明らかにするとともに,制度廃止に反対する真意を明らかにする」ことを目的としたもの。過去10年間の日本医師会,および群馬県医師会の准看護婦に関する資料と,同県下医師会員へのインタビューからの分析をまとめており,参加の会員からは,「若い学生が,真剣に准看護婦問題に向き合ってくれている」と,称賛する言葉が多く聞かれた。なお,会員外からの演題発表は今回が初めてであったが,今後の研究会活動の活性化にとっても有意義な試みであったと思われる。
 2日目後半には,久常節子氏(慶應大教授)の記念講演「日本における看護政策の役割」が行なわれた。久常氏は,前職である厚生省看護課長時代の経験から,准看制度が存続している理由,現在までの議論の経過を説明,制度を動かすためには,その制度ができあがるプロセスを知り,看護職全体として政治に参画していくことが不可欠であると述べた。
 研究会の最後にあたり,「すべての准看護婦が看護婦に移行することが看護の質をあげる。国民の求める看護を提供するためにも,1日も早い看護制度の統合をめざす」を内容とする集会宣言を採択。「准看養成の停止と移行教育の早期実現のために,全力を尽くそう」という決意も新たに会は終了した。