医学界新聞

 

第17回日本リハビリテーション看護学会開催


 昨(2000)年11月18日に,第17回日本リハビリテーション看護学会が,落合芙美子会長(同学会事務局)のもと,富山市の富山県民会館で開催された。今学会は参加者が800名を超え,臨床からの口演34題,示説10題の一般演題が報告され,リハビリテーション(以下,リハ)看護実践における問題が多岐にわたり活発に議論された。

リハ看護の専門性を確立するために

 同学会総会では,「リハ医療におけるリハ看護の専門性」について議論を続けてきた学術検討委員会の報告が注目を集めた。同委員会は,「一般の看護との違いは何か」,「リハ医やPT,OTなど他の専門職と協働している現実の中で,リハ看護の専門性とは何かを明確にする必要がある」と今後の課題を示すとともに,「一層の研究交流に資するリハ看護の専門誌・学会誌の立ち上げが必要」と提起した。
 基調講演では,落合会長が「リハ看護の動向と展望」をテーマに,主に戦後日本の社会状況と合わせて各時期のリハ医療・リハ看護を振り返り,看護が果たしてきた役割の大きさを具体的に述べた。そのうえで「今日OTやPTが行なっている仕事はもともと看護婦が行なっていた行為。他職種と協働する中で,また看護全体の中でリハ看護の専門性を確立することは難しいことだが,しなければならない課題である」と述べ,リハ看護の概念,役割についての私見を示した。また落合氏は「残された能力を開発するリハビリテーション看護は,これまでの医療とは違うプラス指向の医療。人々に新たな人生,新たな目標を与える先見性の医療を切り拓く」と述べ,今後のリハビリテーション看護の意義を強調した。

介護との関連からみた発表も

 一般演題発表では,新たな「介護」の状況を受けた研究発表もみられた。和田真紀子氏(埼玉県総合リハセンター)は,家族を介護する男性介護者について調査し,「介護疲れ」は女性介護者と同様に感じているが,「自ら介護について語ること」や「看護職との触れ合いが少ない」という特徴を明らかにし,より積極的なかかわりの必要性を述べた。一方,看護職と介護職員の介護ストレスを調査した長谷真秀美氏(宮崎リハ病院)は,前者より後者のほうがストレスが大きかったという結果とともに,「疾患的理解の差から介護職のほうがストレスを多く感じているのではないか」との見解を示した。また,今後の課題として「クリティカルパスの作成」をあげる報告が多く見られ,関心の高さがうかがえた。