医学界新聞

 

第6回白壁賞,第25回村上記念『胃と腸』賞贈呈式開催


 「第6回白壁賞」および「第25回村上記念『胃と腸』賞」が,それぞれ前川浩樹氏(東北大)他による「Crohn病の長期経過-X線所見からみた予後予測」(『胃と腸』第34巻10号掲載),山田義也氏(都立駒込病院)他による「AIDSの消化管病変の臨床と病理」(同第34巻7号掲載)に決定。その贈呈式が「DDW-Japan 2000」開催期間中の10月25日,多田正大氏(多田消化器クリニック)の司会のもと,神戸国際会議場で行なわれた第40回「胃と腸」大会の席上において開かれた。

  

Crohn病の長期経過-X線所見からみた予後予測

 「白壁賞」は,故白壁彦夫氏の偉業を讃えて設けられた賞で,氏の業績を鑑みて,消化管の形態診断学の進歩と普及に寄与する優れた研究を対象とし,「『胃と腸』誌に掲載された論文に限らず,同誌編集委員が推薦する論文も対象とする」としている。今回は,同誌第34巻に掲載された全論文と編集委員推薦1篇が選考対象となった。
 贈呈式では,選考委員を代表して川口実氏(東京医大)が,「選考委員会の慎重な審査によって候補論文が絞られた後,全編集委員による厳正な投票によって受賞論文が決定した」と選考経過を報告。「本論文は,非常に鮮明なX線像が多数提示され,まさに消化管の形態診断学の進歩に寄与した論文と評価された」と選評を述べた。続いて,『胃と腸』誌編集委員を代表して牛尾恭輔氏(九州がんセンター)から,賞状と賞牌が授与。金原優医学書院社長から副賞の賞金が贈呈された。
 受賞者を代表して挨拶に立った前川氏は,「思いがけず,白壁先生のお名前を拝する栄誉ある賞を受賞できたことを嬉しく思う。選考の労にあたっていただいた『胃と腸』誌編集委員の先生方に心からお礼を申し上げるとともに,東北大学第3内科において長期にCrohn病の経過観察をしてきた下部消化管グループの先輩の先生方,ならびに直接指導していただいた樋渡信夫先生に心より感謝する」と謝辞を述べ,「今回の受賞を心の糧として,今後ともますます消化管の形態診断学の腕を磨き,研究に精進していきたい」と今後の抱負を語った。

AIDSの消化管病変の臨床と病理

 引き続いて同会場では,「第25回村上記念『胃と腸』賞」の贈呈式が行なわれた。
 本賞は,『胃と腸』誌創刊時の「早期胃癌研究会」の代表であった故村上忠重氏を顕彰して設けられた賞で,消化器,特に消化管疾患の病態解明に寄与した同誌の年間最優秀論文に対して贈られる。
 贈呈式では,選考委員を代表して川口氏が,「白壁賞同様,選考委員会の慎重な審査の上,全編集委員の投票の結果,推薦された候補論文の中から選ばれた。本論文はAIDSの消化管病変について,CD4陽性細胞数によってさまざまな病変があるということ,それからその内視鏡像をよく知り,適切な部位から生検をすれば特徴的な像が得られるということを,画像を通して示されたことが高く評価された」と選考経過および選評を報告。続いて牛尾氏から賞状と賞牌,金原社長から賞金が贈呈された。
 受賞者を代表して山田氏は,「『胃と腸』賞をいただくことができ,驚いていると同時に,選考委員および同誌編集委員の方々には本当に感謝している。この仕事が成就できたのは,都立府中病院元院長の故田島強先生や,東京医歯大に移られた小池盛雄先生をはじめとする病理学の先生方のおかげである。例えばサイトメガロウイルスの封入体を1個見つけるのにも大変なご苦労をお掛けした。また,どうしても食道の病変が多く,外科の吉田操先生および消化器内科の榊信廣先生,内視鏡科の門馬久美子先生など,多くの先生方にさまざまなアドバイスなどをいただいたことが,今回の受賞につながった」と謝辞を述べた。