医学界新聞

 

COML設立10周年記念フォーラム開催


 さる9月17日,大阪市のフェスティバル・リサイタルホールにて,「ささえあい医療人権センターCOML」の設立10周年を記念する,COML医療フォーラム2000が,「STOP!! 医療のあいまい-差額ベッド料のあり方を考える」をテーマに開催された。
 COML(Consumer Organization for Medicine & Law,代表=辻本好子氏)は,「医療を消費者の目でとらえよう」と,1990年9月に活動をはじめた,市民中心のグループ。「賢い患者になりましょう」を合言葉に,患者塾の開催や,病院探検隊,模擬患者グループなど,患者中心の開かれた医療の実現をめざした活動を行なっている。

差額ベッド料のあり方を考える

 1974年の厚生省の医療通知内容に,「患者を特別室へ収容して差額徴収を行なうことができるのは,患者の希望があった場合に限られる。治療上の必要から特別室に収容されたような場合に差額徴収を行なってはならない。これらの事項について明確かつ懇切に説明し,その同意を文書をもって確認の上徴収を行なう」と明記されている。つまり,「治療上の必要や同意書なしでは,差額ベッド料は請求されない」のであり,これを補足する1997年の医療通知も各病院には届いているはずである。
 COMLでは,1998年の患者相談の回答として,この内容をニューズレターに掲載したところ,これを根拠に「差額ベッド料の返還請求をしたところ,病院側が返還した」事実を報告。1999年に入りマスコミ各社がこの問題を取りあげたため,COMLには500件を超える問合せが殺到した。また,本年2月には,国会でも取りあげられ,上記の文書内容が改めて確認された。しかしながら,「当然知っていなければならない病院の事務長が,この通知を知らない。医療に従事する医師,看護婦も通知に精通していない」との指摘もある。
 辻本氏は,「私たちは,不払い運動や返還請求運動をしようとしているのではありません。差額ベッド料のあいまいさという現実を浮き彫りにして,今後どうしたらよいかを皆で考えたいのです」と語り,本フォーラム開催の趣旨とした。
 同フォーラムでは,差額ベッド料の全額返還なった方の経過報告に引き続き,パネルディスカッションが開かれた。登壇したのは,行政の立場から岡崎也寸志氏(厚生省保険局),医療事務の立場から佐合茂樹氏(木沢記念病院),病院経営者の立場から河北博文氏(河北総合病院),法律家の立場から児玉安司氏(弁護士,医師),医療経済学の立場から広井良典氏(千葉大)の5名で,それぞれの立場から発言をした。
 なお,これら差額ベッド料の取り組みやフォーラムの内容については,近々COMLが報告書としてまとめる予定。また,「COML10周年記念号」「私がほしい医療情報-さまざまなセカンド・オピニオン(医療フォーラム1999報告集)」,小冊子「医者にかかる10箇条」なども刊行しており,医療提供者の参考にもなっている。詳細は下記まで問合せのこと。
・連絡先:〒530-0047 大阪市北区西天満3-13-9 西天満パークビル4号館5F
 ささえあい医療人権センターCOML
 TEL(06)6314-1652/FAX(06)6314-3696
 URL=http://www.asahi-net.or.jp/~wu5t-kmnu/coml.htm