〔鼎談〕
癌治療の新たな戦略を求めて
化学療法とTumor Dormancy Therapyの展望
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畠 清彦氏 癌研究会癌化学療法センター 臨床部副部長 | 武藤徹一郎氏<司会> 癌研究会附属病院副院長 | 高橋 豊氏 金沢大学がん研究所 腫瘍外科助教授 |
癌治療をめぐる現況
疫学的考察
武藤<司会> 本日ご出席いただきました高橋先生は外科医の立場から,「Tumor Dormancy Therapy」という考え方に基づいて癌の化学療法を推進しておられます。一方,畠先生は血液腫瘍を専門とする内科医です。そこで本日は「癌治療の新たな戦略を求めて」というテーマで,立場が異なるsurgical oncologistとmedical oncologistから,化学療法の今後のあるべき姿についてお話を伺いたいと思います。最初に癌治療をめぐる現況について伺います。高橋先生,いかがでしょうか。
高橋 北陸地方は胃癌が多いことで有名でしたが,最近は大腸癌が増え,手術数も以前は2対1でしたが,現在はほぼ同数です。
武藤 畠先生が癌研に来られる前にいらした自治医大ではどのような状況でしたか。
畠 高齢者が増加したせいだと思いますが,いわゆる前癌状態,白血病で言えば骨髄異形成症候群が増えています。それから,白血病と悪性リンパ腫について言えば,ここ20年間で約1.8倍に増えています。
武藤 私が専門とする大腸癌でも,ここ50年間で約9倍で,厚生省の平成11年(1999年末)度の人口動態統計の数値は表1のとおりです。
癌の早期診断
武藤 ところで,いわゆる難治癌の早期診 断に関して,過去20年の経緯を振り返ってみたいと思います。高橋先生,いかがでしょうか。高橋 胃癌の場合,早期癌と進行癌に二極化しています。いわゆるステージ(病期)I と IV が多くなり,II と III が少なくなりました。診断方法はほぼ確立しているので,早期胃癌の比率に大きな差はありませんが,一方で例えばボーマン4型スキルス胃癌の早期診断はまだ確立されていません。
武藤 早期胃癌の頻度はどの程度ですか。
高橋 5割は超えました。
武藤 自治医大ではいかがでしょうか。
畠 やはり5割ぐらいだと思います。
武藤 5割を超えるけれども,それ以上にはいかないですね。癌研でも早期胃癌は60%程度です。しかし,相変わらず進行癌がありますね。これは大腸癌も同様で,早期発見の方策は確立できても,その網にかからない癌が相変わらず一定の割合であるということですね。胃癌や大腸癌について言えば,早期に発見できれば救命できますが,少なくとも4-5割の方は進行癌の状態で発見される。つまり,ご自分の健康状況にあまり関心を持たない人がいるわけで,結局手術ができないので化学療法が必要になってくる,というのが現状だと思います。
癌の発生・転移・浸潤と治療のトピックス
「血管新生抑制」という発想
武藤 ここ10-15年は分子生物学の発展が非常に目ざましく,基礎分野の研究成果を臨床応用しようという動きが強くなっています。高橋先生,癌の発生や転移についての研究が臨床にどのように応用できるとお考えでしょうか。高橋 転移が形成されるには,接着,浸潤,血管新生などさまざまなプロセスがあります。しかし,外科医の立場からは,接着,浸潤の状態でも原発巣を切除すれば転移を抑制できることになるわけです。つまり接着や浸潤を標的にすることは,臨床的にはナンセンスです。結局,転移を予防するためには,すでに標的臓器に転移した微小癌巣が大きくならないようにすればよいのです。この微小転移が大きくなるためには,血管新生が不可欠であり,しかもかなりの時間を要します。これが転移抑制として血管新生が標的となる,換言すれば血管新生抑制剤こそが,転移抑制剤として期待できるゆえんです。繰り返しになりますが,臨床的には微小転移をそのままの状況にもっていくことが転移の抑制ということです。
武藤 それは,転移してしまったものをそ こで根づかせないという考えで,転移の抑 制ではないわけですか。
高橋 はいそうです。転移する前の状態でしたら,手術をすればよいわけです。臨床的な考え方から言えば,転移してしまったものをそのまま大きくならないよう抑える。転移の抑制というのは,こういう方法しかないと思います。
武藤 確かに血行性転移というのは,原発巣から癌細胞が遊離してきて,間質を動いて血管に入り,血管の中のリンパ球などの攻撃から生き延びて末梢血管に着床し,再び血管の外に出て,そこで発育して初めて転移が成立するわけです。だから,手術をした時にはもう転移が起こってしまっているか,起こっていないかどちらかということになりますね。
高橋 そうですね。しかも,どういう状態かが私たちにはわからないわけです。
武藤 多くの基礎の先生方は,あるプロセスを非常に細かく研究していらっしゃいますが,実は転移の実態がそういうことだということに気がつかれていなくて,「予防に役立つとおっしゃるけれど,実際どうすればよいのですか」と言うと,「はて,困ったな」ということが現実にありますね。ですから,高橋先生の考え方は臨床的な意味では非常に実用的で理解しやすいのですが,畠先生の立場からはいかがでしょうか。
畠 ある程度の腫瘍がマス(mass)になっていく場合には,やはり血管内皮細胞の新生を伴うので,血管新生抑制という方法は非常に有効ではないかと思います。ただ,その前の時点で1個1個の細胞がいろいろなところに接着したり,血管の中に潜り込んでいくという過程があります。近年の分子生物学の発展から,癌遺伝子や,先ほど高橋先生が言われた微小転移を予測するようなマーカー,例えば大腸癌などの腫瘍での認識抗原が明らかになってきています。そういうもので小さな転移や残存病変が認識できるようになると,今後もっと新しいことを取り入れる治療法の開発につながるのではないかと私は思います。
「免疫療法」について
武藤 血管新生の抑制という観点はおもしろいのですが,それ以外にも癌に対する特異抗原の認知を利用した免疫療法があります。これはもう少し進歩するのではないかと期待していますがどう思われますか。高橋 古い話では北海道大学でAFP(α-fetoprotein)抗体が腫瘍を抑えていたという研究がありましたが,ただ機序がよくわかりません。最近は,実際に悪性リンパ腫では応用されていますが,消化器癌ではそのようなものはありません。やはり抗癌剤と同様に,固形癌ではこのような治療は難しいかなという感じがいたします。
武藤 血管新生というのは,言ってみれば「兵糧攻め」ですね。そして,免疫療法というのは「自国の兵隊を強くして,攻撃力を高める」という積極的な治療法ですね。その後に,制癌剤という爆薬を仕掛けたりという方法になるのでしょう。
転移の機序に関しては,現在さまざまな研究がなされています。例えば,細胞の移動をコントロールする遺伝子がわかってきたり,それをまた抗体で抑えることによって細胞を止めてしまうなどという研究も進んでいます。ただ科学としてはおもしろいけれども,いざ臨床に役立てようとすると難しいですね。
高橋 そうですね。実際に転移の抑制剤で臨床試験されているのは,血管新生抑制剤と増殖因子の抗体くらいです。やはり接着や運動能といったものでは薬としての臨床試験はまだ行なわれていません。
武藤 予防薬として使えるのなら,それは一番よいのでしょうが。臨床に使う立場から分子生物学の手法を応用できる時代が目の前に迫っていますので,臨床家もこういう方面の知識が不可欠になりますね。
血液腫瘍学の立場から
武藤 次に治療のトピックスという話題に移りますが,畠先生,血液腫瘍の方面で画期的な治療法は何か出てきましたか。畠 1つは白血病では分化誘導療法があります。細胞腫の分化,もしくは細胞自体の分化を誘導するような薬剤で,今までのような強力な化学療法をしなくても,細胞の表面が変わっていくことによって正常化に向かうという治療法です。現在,砒素やヒストンデアセチレースインヒビター(histone deacetylase inhibitor)が開発中で,血液領域のトピックスになると思います。
それから,種々の特異的な染色体異常に相当する転写因子などの融合遺伝子の異常がわかってきましたので,それを標的にして薬理学的に作用する物質が開発され,慢性骨髄性白血病のあるチロシンキナーゼを阻害するような薬剤があります。これは,従来のインターフェロンに比べると劇的に効き,なおかつ副作用も少ないということから近年のトピックスになっています。
武藤 急性白血病は以前は死の病でしたが,現在の治療成績はどうですか。
畠 急性骨髄性白血病は5年生存率で50%です。急性リンパ性白血病では15%と悪いですが,小児の急性リンパ性白血病では90%以上は完治します。
固形腫瘍について
武藤 固形腫瘍ではそれほどの成績が出ないのはなぜでしょうか。畠 1つには,白血病の場合は緑色腫瘍を除いて固まりを作ることは稀です。バラバラですので,すべての細胞が薬剤にさらされる可能性があります。ところが,悪性リンパ腫の一部もそうですが,巨大な腫瘍ですといつまで治療しても中央のところが残ってしまう場合があります。悪性リンパ腫の11番と14番のtranslocation(転座)で見られるbcl2が過剰発現している瀘胞性リンパ腫の場合,進行は緩慢で逆に強い治療をしても治りません。5-10年生きていらっしゃる方はいますが,それでも安心できなくて,いつの間にかcrisis(急性転化)と申しますか,状況の悪いようなものに転化してしまって,急に増殖を始めるような状態に変わることがあります。こういう場合,骨髄移植やその他の移植については検討されていますが,残念ながら必ずしもこれまでの高用量の化学療法は有効というわけではないと思います。
武藤 白血病のほうが固形腫瘍よりも腫瘍のマスとしてheterogeneity(異質性)が少ないということもあるのですか。
畠 例えば胸水や心嚢水,頭や肺などに接着や浸潤している白血病が,もともと骨髄 にある細胞に比べるとある接着因子が特別 に出ているというような問題は,CD56という分子をめぐって最近話題になっています。その分子が出ていますと,中枢神経系に浸潤しやすくて予後が悪いということがわかっていまして,白血病の中にもheterogeneityはあると言われています。そのheterogeneityの一部から再発部位をある程度予測することができます。
武藤 しかし,固形腫瘍が転移するプロセスを考えると,白血病は最初から浸潤しているようなものです。ただ,白血病に対するアプローチの方法から何か学ぶところがないのかなという気がします。例えば婦人科の腫瘍などにはずいぶん思い切った大量療法をしますね。そして,癌が残っていてもまた手術をする。それで3年生存が何%という考えを持っているのですが,あれは腫瘍の性質が違うからなのか,それとも消化管の固形腫瘍にはやり方がまだ足りないのか,あるいはよい薬がないのか。高橋先生はどう考えていらっしゃいますか。
高橋 10数年前から,固形腫瘍でもEAP(Etoposide,Adriamycin,CDDPを併用するレジメ)療法を中心にかなり強い化学療法が試され,一時期よい成績が出ましたが,ほとんど生存期間が伸びないということから最近では下火になっています。つまり,胃癌ではいくらDose Intensiveを上げてもあまり生存期間が伸びないようです。
Tumor Dormancy Therapyの現況と展望
dormantをめざす治療
武藤 消化管の癌の治療の基本はどうしても手術になりますが,再発すると化学療法が必要になります。化学療法や放射線療法,免疫療法などとどのように組み合わせて治療していくかという戦略について,ご意見を聞かせていただけますか。高橋 従来は,腫瘍をできる限り少なくすることが最大の戦略だったと思います。腫瘍を縮小しますと,小さくなったものが元の大きさに戻るまで時間を稼ぐという意味では確かに生存期間が延びます。しかしそれとは別に,しばらくじっとして眠っている状況,私はそれを「dormant」と呼んでいるのですが,そういう時期があることがわかりました。そしていろいろ検討した結果,胃癌や大腸癌などの消化器癌では,縮小率が小さいためdormantの時期の平均が全体の3分の2を占めているということがわかりました。それならば初めからdormantをめざす治療のほうが消化器癌には向いているのではないか,という考えに至ったわけです。もちろん縮小させることが悪いと言っているのではなく,無理に縮小させることがよくないのではないかと考えているわけです。例えば,そのことによって免疫能を破壊したり,悪液質を誘導したりして,かえって再燃を早めたりしているのではないかと考えています。
武藤 縮小は最初から考えない。縮小に越したことはないけれども,縮小を狙うような大量の療法をしないということですね。
高橋 これまでの化学療法における投与量もそれほど根拠があるわけではなく,要するに「副作用の出なそうな耐えられる最大量の濃度」ということです。
これはまさに縮小をめざして決めた量で,多くの腫瘍が縮小することを保証する量ではありません。それを,「縮小はなくてよい,増殖を抑制すればよい」と考えれば,当然薬の量は減り,副作用が軽減し,長期間投与できることになります。
TTPという概念
武藤 「Tumor Dormancy Therapy」という考え方は,TTP(time to progression:増殖抑制時間)を指標にしてその効果を測定しますが,日本の化学療法の主流の方はあまり重きを置いていませんね。高橋 TTPという概念は,3年ほど前のハーセプチン(Herceptin)というシグナル伝達系をブロックする抗体の薬でよく使われるようになりました。これは増殖を促進させる物質をブロックするわけですから,小さくすることは当然難しいわけです。そこで,欧米では柔軟な発想から,何かうまくこの薬剤の効果を表現できないかが検討され,TTPという概念が表舞台に出てきたわけです。それがいつの間にか,化学療法の臨床試験にも応用されてきたという感じで。
武藤 この間,ヨーロッパの化学療法の国際セミナーで,大腸癌に対する経口制癌剤と従来のロイコボリン(LV)/5-FU静注法の5年生存率とTTPを比較していました。私は初めての経験でしたので,「ああ,こういうものか」と思ったほどです。日本では,高橋先生ぐらいしかそういう話をなさらないものですから(笑)。そこまで認識していなかったのですが,欧米ではかなりこの考え方が支持されているようですね。要するに,癌を撲滅するのではなく,共存していこうという考え方なのです。
高橋 ここで従来の化学療法の講演とTumor Dormancy Therapyに関する講演の前と後に行なった約350人の医師によるアンケート調査結果を紹介します(資料)。
まずNCについての質問で(問1),効果については有効と考える人が32%から43%に増加し,無効と考える人が逆に15%から2%に減少しています。ただどちらとも言えない人がいまだ半数以上を占めています。次に「化学療法をしてNC状態の時,その治療を継続するか」という質問では(問2),講演前は「他の治療に切り替える」と答えた人が42%と多数を占めていたのに対し,講演後には22%までに減少し,そのほとんどがわからない,つまり意志保留の状況になりました。さらに先ほど武藤先生からご指摘があった「TTPに関して理解している人」は28%に過ぎないこともアンケートから判明しました。そこで3番目の質問として「TTPを化学療法の効果判定に使えるか」と問うたところ(問3),講演前は「含めてもよい」は51%に過ぎませんでしたが,講演後には86%と大多数が賛成するに至りました。
以上の結果を要約しますと,Tumor Dormancy Therapyという新しい概念は比較的受け入れられやすい環境にあり,特にTTPに関してはよい印象が持たれたということです。Tumor Dormancy Therapyが,縮小よりはむしろTTPから生存期間を得る治療概念であることを考え合わせると,今後より広く普及されることが期待できると思います。私たちはすでに5'-DFURがTTPを延長させる効果を有することを報告してきましたし,最近では東海地区のグループの臨床試験で5'-DFURが5-FUよりもTTPを延長させるという成績も出ているようです。このように,今後はTTPをエンドポイントの1つとした臨床試験が重要かと思われます。
武藤 畠先生,血液腫瘍学の考え方からは いかがでしょうか。
畠 急性の骨髄性白血病やリンパ性白血病,また増殖の速い悪性リンパ腫では,あてはまることは少ないのではないかと思います。ただ,白血病やリンパ腫の場合でも,再発するまでの期間が長いほど寛解に入りやすいことが知られています。ということは,寛解に入る期間が長いほど,寛解に入った後で再発しても,その時すでに細胞が以前とは異なったサブグループを作っていることの証明と考えることもできます。
また慢性骨髄性白血病や慢性リンパ性白血病,それから濾胞性リンパ腫などですね。骨髄異形成症候群の中のいわゆる白血病細胞が少ないグループでは,先生が言われたようにいつまでも進行せずに,同じ状態を作っています。
それから,肺炎を合併したら自然に治癒してしまったという例が知られています。これまではサイトカイン血症が強く起こったために自然治癒したのではないかと思われていましたが,長い期間にわたって白血病細胞やリンパ腫の細胞でもdormancyになっているのではないかと思われる症例がかなり出てきていると思います。
武藤 場合によってはdormancy therapy的な考えで治療することもあり得るわけですね。
畠 例えば骨髄移植後に,もう1度強い治療をすることはおそらくできなくなりますし,心毒性や臓器毒性の問題があります。現実には,腫瘍を標的にしているような,いわゆるgraft-versus-leukemiaを起こしているようなリンパ球がドナーと共存しているような状態のような場合,先生が言われたように,強く叩きますと免疫能を抑えるだけで,かえってopposite reactionを起こしてしまうので,むしろ共存させたほうが延命する症例があります。
Tumor Dormancy Therapy再考
武藤 Tumor Dormancy Therapyという考え方は,誰がいつ頃提唱したのですか。高橋 「Tumor Dormancy」という言葉は,最初はフィラデルフィアのWheelockが免疫の関係で使ったもので,その次にFolkmanが血管新生抑制剤に関して強く強調したために世界的にも有名になりました。私はそうしたものに化学療法なども含めてTumor Dormancy Therapyと総称し,新しい戦略を考えるという視点から使っております。言葉としては新しいのですが,考え方そのものはかなり古いものです。
つまり生存期間と縮小とが相関しないということに気がついたのです。きっかけは,手術は縮小でしか生存期間は得られないのに対し,化学療法では縮小だけでなくdormantからも生存期間が得られることに気がついたからです。
武藤 私は外科医ですが,拡大郭清手術にあまり熱心でなかった教室に育ちました。ずっと癌に興味を持っていましたが,局所だけいくら郭清しても,血行性転移で亡くなったりしまして,あるところまでいくと,癌はメスでは治せないという諦めが昔からありました。ですから,ある場合には,癌と共存するしか方法はないのではないかとは思っていましたので,具体的にTumor Dormancy Therapyという概念が出てきた時,私はすぐに受け入れることができました。
しかしながら,拡大郭清手術に熱心で,とにかくメスで治そうという人にはなかなか受け入れられない。同様に化学療法で完全に癌を殺そうという考えを持っている方にも,なかなか受け入れられないでしょうが,先ほどから言われているように,癌はheterogeneityが高いですから,1つの手段で,すべての癌細胞を殺そうと考えること自体無理なことだと思っています。
dormant chemotherapyにおける服用量
武藤 ただ,服用量ということは難しい問題ですが,dormant chemotherapyではどのように決めていらっしゃるのですか。高橋 これまでの抗癌剤の用量というのは,先ほども申しましたが,最大耐用量により近く,PR(partial response;有効)症例が得られる用量です。これに対して,Tumor Dormancy Therapyをめざす化学療法は,PD(progressive disease;進行)がほとんど見られない最低量が用量になると思います。具体的には従来のdose escalation法で用量を決めていけばよろしいかと思います。
私が開発したCPT-11(カンプトテシン)低用量頻回投与法では,25mg/m2を週3回がこれに相当しました。同様の検討をされているある先生は,20mg/m2を週2回でも大丈夫だと言っておられます。ですからCPT-11に関しては,20-25mg/m2を最低週2回が多くの症例でNC以上を得られる最低量だと思われます。これは胃癌,大腸癌での検討ですが,副作用は激減しました。TTPは延びましたし,副作用もないので,投与期間が4倍ぐらいになりました。また実際に生存期間も延びました。縮小効果はそれほどでもありませんが,確かにTTPによって生存期間が延びていることが証明されています。
抗癌剤とは,癌に特異的に効く薬ではなく,増殖の速い細胞のDNAを障害する薬剤で,もともと癌細胞すべてを殺すということは,宿主の多くを殺すことを意味しています。しかし,増殖を抑えるだけなら,宿主の細胞も殺すことはないわけで,このような効果は比較的容易に得られるのではないかと思います。
武藤 本当は,Tumor Dormancy Therapyのタイプと,従来のやり方と同じ薬を使って比較してみないといけないのでしょうね。
学会発表などで,新しい試みで効果があった例として,CTなどで見ると多発性転移がきれいに消えた例などが出てきます。実際には極めて稀で,一番よい症例を持ってくるのでしょうが,そういう点では従来のほうが,一般の人には印象的ですよね。「こんなに効いたのがあるのか」と思う。一方のdormancy therapyは「腫瘍は縮小しない」のだから,効いたという感じがしない(笑)。そのあたりが少し難しいですね。実際にやってみて,実感を持たないと,理解がなかなか得られないところです。
「ウィークリー・タキソール」
武藤 高橋先生は現在具体的にどのような腫瘍に対してどのような薬を使い,どのような戦略を用いて行なっていこうとされているのでしょうか。高橋 消化器癌はすべて化学療法が効かない部位に入っていますが,その他肺非小細胞癌,腎癌など化学療法が効かないと分類される癌種に対してはdormantでいくべきだと思っています。具体的な治療としては,先に紹介したCPT-11の低用量頻回投与の他には,日本で最もよく使用されているlow dose FPという方法もかなりdormant的な治療ではないかと思います。
それから最近欧米では,タキソールやタキソテールの低用量頻回投与が話題になっています。これは,従来タキソールを3週間に1度投与していた量を3分の1にして,毎週投与する「ウィークリー・タキソール(weekly taxol)」という投与法です。副作用が出にくいということで投与回数が増え,結果的には投与量も増えていきます。そうすることによって,これまで副作用が大き過ぎて,効果がわからなかったような症例も,効く方向にもっていくことができるメリットがあると思われます。
これまでの「縮小のみをめざす」という発想からは,なかなかそういうことは考えつかなかったと思いますが,「増殖を抑制すればよい」という考え方に立って,TTPを延長させ,結果的に縮小も得られるという理想的な結果となるわけです。
武藤 畠先生はdormancy therapyという言葉を以前からご存知でしたか。
畠 『Nature Medicine』誌でFolkmanなどの論文を読んでいて,angiogenesis(血管新生)との関係に興味は持っていました。しかし,固形腫瘍はあまり経験がなかったので,「いわゆる腫瘍モデルとしてはあってもよいけれど,本当にこんなことあるのかな」と思っていました。癌研でも高橋先生が先ほど言われたタキソールやタキソテールを乳癌にウィークリーで行なっていますが,副作用も少ないし,NC(no change)の期間が長いとか,あるいは心嚢水や胸水が引いた症例をかなり経験しました。これはtumor dormancyという概念にすべて入れていいのかわかりませんが,副作用がほとんどなく奏効している多くの症例に出会っています。
武藤 私は支持しているのですが,そうではない立場の人から言うと,「確かにそうだけれども,evidenceが少々頼りない」ということになります。やはり同好の士が集まって,かなり大きなスタディをきちんとして,evidenceを積み立てることが必要だと思います。
所詮,再発癌や難治癌は大量療法を行なっても完治しないですから,残された人生を少しでも長く,またいかにしてQOLを高めて過ごすかという考え方で治療するのに正しい方法だと思いますし,もっと多くの人が使ってよいと思います。
他の方法との組み合わせ
武藤 ところで,化学療法だけでなく免疫療法や血管新生における抗血管新生剤など他の方法と組み合わせて,より効率的に抑制できればよいと思いますが,その点に関する戦略についてはいかがでしょうか。高橋 実際,正常細胞とはシグナル伝達系やアポトーシス,またテロメアなどによって,増殖が停止する,つまり眠っている状態です。癌細胞とはそこに遺伝子異常が数回起こり,どこかに破綻がきて癌化したものです。要するに,癌化というのは“眠っていた”細胞が起きてしまったような状況であり,さらにそれがMMP(matrix metalloproteinase)や血管新生能を獲得して転移するわけです。それが癌の本質だと考えますと,起きたものを眠らせることこそが癌の本質的な治療と言えると思います。
現在行なわれている戦略は,どちらかと言いますと,手術や放射線療法,化学療法など信頼できる治療法でまず叩いて,なるべく癌を小さくした上で血管新生抑制剤などを使ってそうした状況を持続させる。これが欧米で使われている方法です。そのままを併用するのではなく,小さくすればするほどTTPを延長しやすいということから,そういう方法がとられたわけです。ところが日本では,縮小にこだわっています。例えば血管新生の薬が臨床試験されていますが,やはり抗癌剤との併用で縮小率が高まったかどうかを中心に判定されているようです。
武藤 今のお話は再発癌についてですが,先ほど出ましたTTPの概念で一定の服用量が決定されれば,補助療法としてこの方法が使えるのではないかと思いますがいかがでしょうか。補助療法はもともとTTP的な発想で,本当に叩こうと思わないのですね。
高橋 そうですね。補助療法では縮小させなくてもいいわけですから。
免疫療法と樹状細胞療法
武藤 少し話が戻りますが,樹状細胞(dendritic cell)療法が盛んに研究されていますが,畠先生,いかがでしょうか。畠 免疫療法と言いますと,これまではLAK療法や白血病やリンパ腫で,ドナーからリンパ球を入れるという考え方が強かったと思いますが,「樹状細胞療法」という考え方は,先ほどのTTPと効果判定との関わりという考えでやっていけるような気がします。癌患者さんから取ってきた細胞を使うので,患者さんにとっても負担が少ないし,明確なひどいことを起こさないという意味で注目を浴びているのではないかと思います。ただ国際的にも,プロトコールが統一された研究が行なわれていませんし,樹状細胞専門の国際会議でも300人ほどしか集まりませんので,わが国でもおそらくまだ現実に臨床例で実施している施設は少ないのではないかと思います。
武藤 それはあまり効果がないので期待できないからですか,それとも技術的な問題があるからですか。
畠 両方だと思います。技術的な問題としては,1つには腫瘍全体にその増殖因子,抗原がわかっているわけではないからです。前立腺癌や大腸癌,あるいは胆嚢癌や膵癌など,わかっている腫瘍が増えていますし,白血病のように転写因子の標的分子がわかっている腫瘍がありますが,わからない腫瘍ではどうするのかという問題があると思います。
もう1点は設備上の問題や時間の問題があります。患者さんからある血液を取り出し,分離するしないは別にしても,一定期間,一定条件下で培養しなければなりません。また,わが国では臨床応用されていないサイトカインを混ぜたり,再びヒトに戻さなければいけませんので,残念ながらまだ特別な施設でしかできません。この2つの問題点があると思います。
将来的には,高橋先生や武藤先生も先ほど言われたように,微小転移が考えられるような症例では,化学療法やその他の療法を行なって,患者さんの免疫状態が悪くなる前に取っておいて,凍結保存したり,活性化をして戻したりということは技術的には可能になってきていますので,前向きに考えていただいたほうがよいと思います。
武藤 東大にいた頃,私の教室に大腸癌で研究していた人がいましたが,どうもうまくいかないようです。ただ1人だけ,CEA(carcinoembryonic antigen:癌胎児性抗原)のペプタイドで刺激したら,CEA値が3分の1くらいになりました。それだけで見ると非常に効いた例になります。それから,脳腫瘍がきれいに消えたことがありました。高橋先生はいかがですか。
高橋 こういう治療は,いまご指摘のように小さな腫瘍に対するadjuvant chemotherapy(補助化学療法)としてはよいでしょうが,大きな腫瘍に対しては難しいと思います。
感受性試験について
武藤 話題は変わりますが,以前から薬剤耐性(MDR:multidrug resistance)という問題があり,これに伴って感受性試験の問題があります。この方法に関して,現在どこまで研究が進んでいるのでしょうか。高橋 感受性試験に関しては,おおまかに 言えば「ヌードマウス移植法」「SDI(succinic dehydrogenase inhibition)法〔MTTアッセイ〕」「HDRA(histoculture drug response)法」などがあります。
米国のVan Hoff博士は,54の独立したin vitroの抗癌剤感受性試験の成績を集計し,2,300症例における真陽性率(有効予測率)が69%,真陰性率(無効予測率)が91%と報告しています。つまり,感受性試験は無効な抗癌剤を除外するという点が強調されるという結果となっております。欧米では,この結果などを受けて保険適応が決定したと聞いております。確かに臨床試験では無効な症例の存在を知りながら施行されていることを考えると,これを除外できる方法があるとしたら,これを利用しないのは倫理的に問題があるものと思われます。
また将来的な期待としては,数多くの遺伝子発現から感受性を予測する,いわゆるDNAマイクロアレイによる方法も期待されるかと思います。現在のところ,tumor dormancyを感受性試験でみていく方法はありませんが,これは今後避けて通れない問題かと存じます。
武藤 血液腫瘍学の立場から感受性に関す る問題はありますか。
畠 白血病細胞は浮遊細胞ですので感受性試験がわりとやりやすいです。古くはCSF(colony stimulating factor:コロニー刺激因子)を使った形成法,現在はアイソボログラム(isobologram)と言いまして,ある薬剤とある薬剤の相乗効果の有無を,MTTアッセイもしくはthymidineの取り込みを基準として,増殖が進むか進まないかを調べています。ただし残念ながら,これはdormancyに散らせるような薬剤をチェックできません。やはり増殖抑制が主ですので,いまはアポトーシスを起こすかどうか,あるいは増殖を少し停止しているような薬剤がないかを研究しています。
今後,そういうアッセイを研究していく必要があると思いますし,武藤先生が言われたようにneoadjuvant chemotherapy(術前補助化学療法),dormancy therapyの効果の有無については,科学的に両者の例を何例か集めて,ゲノムやマーカーを徹底的に調べることが必要でしょう。少なくともdormancy therapyに関心はあるものの経験のない方には,そういう形でアプローチしないと,なかなか研究に参加していただけないのではないかと思います。
neoadjuvant chemotherapyと遺伝子治療
武藤 neoadjuvant chemotherapy(術前補助化学療法)についてはいかがでしょうか。私は理屈の上ではこれが一番実用的だと思うのですがいかがでしょうか。dormantにするためにも,アポトーシスがある程度起こらないとdormantにならないわけですから,何かチェックする方法はないかなと思うのですが。私はneoadjuvant chemotherapyはもう少し研究されてもいいのではないかという気がしますね。dormancy therapyを推進するなら,そのあたりを考えたほうがよいと思います。ところで遺伝子治療についてはいかがですか。
高橋 遺伝子治療は現在は局所療法的なものだと思います。しかし,局所療法ならば手術が最も適していますから,外科医から言うと,転移を抑制するような遺伝子治療をぜひ開発していただきたいと思います。
武藤 確かに新しい治療法というのは,他の治療法がない症例に適用されますね。末期に近いような状態ですから,とても効くとは思えないのですが,どこまで効くかを調べ,それを前倒しにして,最終的には効く方法があれば,補助療法的,あるいは小さな腫瘍に対して行なわれることになるでしょうね。道のりは相当長いように思います。私はむしろ遺伝子治療よりも免疫療法のほうが,早く成果が出るのではないかという気がしています。
medical oncologistとsurgical oncologist
高橋 外科医は症状がどんなに進行しても,やはり「まず手術だ」という感覚がありますが,今後はsurgical oncologistとして,手術だけを武器にするのでなく,化学療法やさまざまな薬剤療法も身につけた上で,考えていくことが必要だと思います。少なくとも消化器癌において手術と化学療法の効用と限界をわかっているのはやはり外科医でしょう。武藤 癌研では,科にもよりますが主にsurgical oncologistが化学療法を行なっています。化学療法は本当はmedical oncologistがやる仕事ですが,わが国では化学療法を専門に教育するところがないし,外科医が熱心だからそれをやっているわけですけどね。
そこで,「tumor board」という組織を作りまして,その中で「この症例には,どの治療法がベストか」という検討をすることにしました。手術をすれば治るようなケースを除いた難治癌の治療についてです。手術が先か,放射線療法が先か,それとも化学療法が先か,ということをきちんとこのtumor boardで決めていこうというシステムです。
私はこれは非常に重要なことだと思っています。外科医が「私が切るか,化学療法をやるか」を決めるのではなくて,やはりmedical oncologistと相談してから手術をするのが仕事であって,本当はmedical oncologistがもっと増えなくてはいけないと思います。癌研には幸いに専門家がいますので,このシステムを動かすことができますが,これからこのようなシステムが大切なポイントになるのではないかと思います。
癌治療の新たな世紀
DNAマイクロチップについて
武藤 最後に,癌治療の新たな世紀という話題に移りたいと思います。まず,DNAマイクロチップですが,これをどのように活用していくかということが,重要なポイントになると思います。畠先生,おそらく内科のほうが利用するのは早いでしょうし,白血病についてはかなり利用できるのではないかと思いますが,どのように考えていらっしゃいますか。
畠 現在論文になっているもので,マイクロアレイやDNAマイクロチップを使った治療法としては,「骨髄異形成症候群」という前白血病から白血病になる時に活性化される遺伝子,それから慢性骨髄性白血病の慢性期から急性転化と言いまして悪い状態になった時に活性化する遺伝子というあたりが解析されています。この遺伝子が前後に活性化されてくると,次に悪い状態が来るのではないかということが臨床的にも明らかになってきております。
その他には,例えば先ほど申しました分化誘導療法とか,化学療法に耐性のある症例などを解析してみますと,ある遺伝子がpoint mutation(点突然変異)を起こしているとか,転写因子の異常があることがわかってきました。おそらく今後はそういうものが明らかでないようなケースに対して,先ほど出ました抗体療法や樹状細胞療法が効いた例とそうでない例,化学療法に耐性である例とそうでない例,あるいは非常にdormancyで長い経過を終えた例と,そうならなかった例を比べたりして,どういうものでそういう遺伝子が活性化されているか,もしくはdown regulationされているかということがわかれば,その治療を行なう前に逆に予測するということも追々できるようになってくるのではないかと思いますし,臨床的にはそういう方向に応用されると有用ではないかと思います。
「オーダーメイド治療」について
武藤 固形癌に関してはいかがですか。高橋 固形癌は,例えば早期胃癌では10%程度の転移があるわけですから,もしもそういうもので術前に転移の有無がわかれば,現在なされている局所療法のような小さな縮小手術がもっと多くの症例に拡大できるわけで,よい武器になるのではないかと思います。
武藤 以前に癌研にいらした東大医科研の中村祐輔先生がよく言われている「オーダーメイド治療」ですね。
癌にはそれぞれ個性があり,それはDNAの変化によって決まるわけですが,それを知ることによって無駄な治療をせずに,有効な治療をしようということです。例えば,化学療法が効くケースと効かないケースを比較し,遺伝子の発現はどこが違うかを調べることで,最初から化学療法をするかしないかがわかるだろうと思いますし,そのためには,臨床のデータをきちんと揃えておくことが重要になり,外科医の役割が一層重要になってくると思いますね。
それから,予後の問題も5年生存率を云々するよりも,患者さんにとってどうなのか,ということを考えるべきでしょうね。例えば,その人が本当に癌で死んだのか,他のことで死んだのかということをきちんと調べないと,統計だけでは扱えないという気がします。その辺をきちんと研究していくことがこれから必要で,いわゆる「天寿がん」という考え方も必要になってくると思います。
10年後の化学療法
武藤 最後にお2人から10年後の化学療法の予測と抱負を,一言ずついただきたいと思います。高橋 もともと癌というのは,異物ではな くて自分の細胞が変化したものですから,これを殺すことが難しいのは当然であります。ですから,前述しましたように,それを眠らせ,おとなしくさせることこそが本質的な治療ではないかと思います。
そういう意味合いからも,Tumor Dormancy Therapyという治療法は決して姑息的なものでなく,次世紀のメインの治療になり得ると固く信じております。
畠 私はやはりオーダーメイド医療につながるものとして,今後は症例の層別化がさまざまな疾患で行なわれていくと思います。それがさらに遺伝子レベルやマーカーレベルで明確になるのではないでしょうか。効果が高い症例については,高用量の化学療法が行なわれ,逆に効果が低い症例には,高橋先生が言っておられるようなdormancy therapyを導入するようにして層別化され,それはそういうような治療を進めていく。そこで,免疫療法や放射線療法を含めて,いろいろな集学的な治療の中のどれを選ぶかということが検討される。そのためにも,もっと多くの科が集まって,適切な治療を選択していくというシステムができあがるのではないかと希望しております。
武藤 私が外科医になりたての頃は,制癌剤というとメニューはあまりありませんでしたが,現在は化学療法の他に免疫療法,抗体療法などいろいろなメニューが揃ってきました。そこで,もう少し患者さんの好みをきちんと聞いて,それに合ったものを提供するということが次世代には必要になってくるでしょう。そういうことが実際に可能になりつつあるのではないかと思います。そういう意味でも,高橋先生のおっしゃるdormancy therapyという言葉は,多くの方には耳新しいかもしれませんが,先生がご指摘のように「癌と共存する」,「癌をおとなしくさせて,別に殺さなくてもよろしい」という新しい考え方は今後さまざまな形で発展していくだろうし,治療の重要なポイントになってくると思います。
今後も癌はますます増えるでしょう。これまでは手術が主役でしたが,これからは化学療法と放射線治療が大きな位置を占めるようになるのではないかと思います。そういう点では,わが国にはその専門家が少ないことが大変大きな問題です。やはり手術だけではなくて,化学療法あるいは免疫療法,放射線療法を組み合わせて行ない,medical oncologistとsurgical oncologistが一体となって治療をすることが次の世代に重要なことではないかと考えています。
先生方のこれからの益々のご発展を祈りまして,また読者の方々が今後の癌治療に対する新しい考え方を理解していただければ大変ありがたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
表1:性・部位別にみた悪性新生物死亡数の年次推移 | ||||||||||||||||||||||||||||
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【注】 | (1)結腸と直腸S状結腸移行部および直腸を示す。ただし,1965年までは直腸肛門部を含む。 | |||||||||||||||||||||||||||
(2)肝と胆のうおよび肝外胆管を含む。 | ||||||||||||||||||||||||||||
(3)気管,気管支および肺を示す。 | ||||||||||||||||||||||||||||
[資料:厚生省「人口動態統計」より] |
資料:アンケート調査結果 | ||||||||||||||
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