医学界新聞

 

実践と研究の架け橋

「先駆的保健活動交流推進事業研究発表会」開催


 日本看護協会(南裕子会長,会員約50万人)では,1993年から厚生省の委託を受け,先駆的な保健活動を推進するために,現場で働く看護職者への研究の助成,支援を目的とする「先駆的保健活動交流推進事業」を実施している。
 さる7月23日,本年3月にまとめられた1999年度の助成研究15題に関して「平成12年度先駆的保健活動交流推進事業研究発表会――実践と研究の架け橋へ」が,東京・青山の東京ウィメンズプラザにおいて開催された。

住民を意識した有用な研究

 同日午前に行なわれた研究発表全体会には,野村陽子氏(厚生省保健医療局),岡谷恵子氏(日本看護協会専務理事)が出席し,それぞれに「価値ある研究成果」と評価する挨拶を述べた。
 その後,原礼子氏(福島県立医大)をコメンテーターに迎え,「健康なまちづくり推進保健活動における新たな保健婦活動方法論に関する研究」(都多摩川保健所 宮本ふみ氏)と,「高齢者のQOLを考慮した健康寿命を延伸するための保健サービスの視点」(長崎市福祉保健部地域保健課 松林征子氏)の2題が報告された。
 「保健所の担うヘルスプロモーションの検討」との副題をつけた前者の研究では,新たな公衆衛生活動としてのヘルスプロモーションが提唱され,個別支援活動の展開の必要性が明確にされた。また後者では「豊かな長寿社会へ向けた明るい将来」が語られ,地域保健活動の基盤となるべく,数量的研究からの環境改善政策が提言された。
 なお,午後からは2会場に分かれて,13題の研究発表および意見交換が分科会形式で行なわれた。
 同研究助成は,これまでの5年間に36都道府県から422件の申請があり,106件に対して助成が実施された。
 今回の発表会にあたり渡辺裕子研究支援小委員会委員長(家族看護研究所長)は,「本推進事業は,現場の実践から研究への架け橋として大きな成果があった。その波及効果は,今後の保健活動の礎となるものである」と述べ,先駆的保健活動交流推進事業を評価した。なお,本研究助成事業は今回で終了となった。