介護保険制度下における問題を論議
第8回全国老人ケア研究集会が開催される
全国老人ケア研究会(会長=都老人研 鎌田ケイ子氏)は,昨年,特定非営利活動(NPO)法人「全国高齢者ケア協会」として再スタートしたが,同協会が主催する事業の1つとして,さる7月8日に,第8回全国老人ケア研究集会が,札幌市の札幌市教育文化会館で開催された。
介護保険制度とケアプランの活用
「介護保険によって高齢者ケアはどう変わるか」をテーマに掲げた同研究集会では,会長講演「ケアプランの標準化に向けて」や,沖藤典子氏(作家)による特別講演「利用者・家族の立場からみた介護保険への期待」,シンポジウム「ケアマネジメント体制の確立に向けて」(司会=鎌田氏,市村栄子氏)の他,ワークショップ,一般演題5題の発表が行なわれた。特別講演を行なった沖藤氏は,本年4月から施行された介護保険制度に関して,「要介護認定をめぐりさまざまなトラブルが指摘されており,苦情が言えるシステムゆえに,多くの苦情があると思われたが,予想よりも少なくスタートした。今後,サービスの選択は本当に可能なのかは,社会的評価が下されることになるが,現在は情報が限定されたままで,ケアマネジャーに依存するしかない状況。サービスの妥当性や公平性,またどこまで必要なのかなどをめぐっての評価も必要になろうが,介護保険は,介護問題を100%解決するものではないことを知る必要があろう」と述べた。
また,会長講演を行なった鎌田氏はケアプランに関し,「介護保険がはじまったが,現場ではケアプラン作成をめぐり混乱が引き続いている現在,あらゆる職種から共通理解が得られる簡便なアセスメント表の標準版(スタンダード)を国が示す必要がある」と述べた。その上で鎌田氏は,ケアプランの標準化をめざし,自らが開発したケアプランのための「フローチャート」を提示し,その構造や特徴を解説するとともに,これまでのアセスメント表に勝る利点を明確にした。
「ケアマネジャーを返上」との声も

なお,研究会としては初めての試みとなったワークショップでは,参加した現場の多くのケアマネジャーから,「雑多な業務に追われ,本来の機能が果たせない状況にあり,ケアマネジャーを返上したい」と,書類作成などの日常業務に忙殺されているわりに,報酬に結びつかない現況を嘆く声が聞かれた。
本学術集会を主催したNPO法人「全国高齢者ケア協会」は,「高齢者を支える専門家や家族または地域住民に対して,介護の知識・技術を普及するとともに相互のネットワークを進め,高齢者のケアの質の向上に貢献し,高齢者の自立と安寧をもたらす」ことを目的に,活動を行なっている。
・連絡先:〒169-0075 新宿区高田馬場1-6-37 富士ハイツ1-A
全国高齢者ケア協会
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