医学界新聞

 

第12回日本内分泌外科学会開催


 さる6月27-28日の両日,第12回日本内分泌外科学会が,高見博会長(帝京大)のもと,東京・千代田区の日本都市センター会館で開催された。
 同学会では,「外科的内分泌疾患は内科医,放射線科医,病理医などとの共同作業をなくして成立するものではない」(高見会長)として,日本内分泌学会との共催によるシンポジウム「外科的内分泌疾患の診療上の問題点」,日本間脳下垂体腫瘍学会との共催によるパネルディスカッション(1)「Cushing症候群を考える」,日本内分泌病理研究会との共催による同(2)「内分泌腫瘍の病理診断基準」を特別企画。また,今年は記念すべきミレニアムにあたることから,「20世紀の回顧と21世紀の展望-From One Millennium to the Next」と題する特別講演が,中田英浩氏(山形大)による「副腎」をはじめ,膵・甲状腺・副甲状腺(上皮小体)の4演者により行なわれた。

難治性・重症バセドウ病に関し論議

 特別企画のシンポジウムは,(1)甲状腺:重症のバセドウ病をどう扱うか(司会=野口病院 野口志郎氏,群大 森昌朋氏),(2)副甲状腺(上皮小体):無症候性の機能亢進症をどう扱うか(同=大阪府立病院 園田孝夫氏,虎の門病院 紫芝良昌氏),(3)副腎:副腎偶発腫瘍をどう扱うか(同=放射線影響研 長瀧重信氏,癌研病院 藤本吉秀氏)の3テーマについて,内科医,外科医および関連医が登壇し,各々どう考えるかを論議した。
 シンポジウム(1)では,阿部好文氏(東海大)が,将来妊娠を希望するバセドウ病患者のアイソトープ(RI)治療に関して,「催奇形性については文献的に問題がなく,流早産の頻度も高くない。ただし,抗体が高値の場合は新生児バセドウ病の頻度が高くなる可能性がある」とした上で,「2年以内の妊娠を希望する場合は他の治療法を選択したほうが安全」と示唆。「RI治療は弱年齢のうちに決断したほうがよい」とまとめた。
 また,栗原英夫氏(栗原甲状腺クリニック)は「重症のバセドウ病」に関し,その治療法として「低体温麻酔による手術例」を紹介。成功例は東北大で行なわれた1件のみであることを明らかとした。一方,杉野公則氏(伊藤病院)は1989-1998年における10年間のバセドウ病の甲状腺亜全摘手術成績を検討。「術後成績に関与する因子は,残置量以外に明らかなものはなかった。重症バセドウ病の定義は難しく,手術成績からも判別できない」と結論づけた。なお,その後のディスカッションでは,難治性および重症バセドウ病に関し,どのくらいの期間薬物治療を実施し,どの時点で治療法を変更するのか,などが議論された(写真)。