医学界新聞

 

第25回日本精神科看護技術協会
日本精神科看護学会香川大会開催


 設立から四半世紀を迎えた,日本精神科看護技術協会(櫻井清会長,会員約3万6千人)の総会,ならびに日本精神科看護学会(第25回香川大会)が,さる5月24-26日の3日間,香川県高松市の香川県県民ホールにて開催された(本紙6月26日付,2393号に既報)。
 なお,同大会では,第25回定期総会をはさみ,基調講演および文化講演「日常の忘れ物-人間を考える」(作家 藤本義一氏)が企画された他,大会テーマに沿ったシンポジウムが,患者家族を含めた4人のシンポジストにより行なわれた。


新たな100年への新しい第一歩に

 櫻井会長は開会にあたり,「設立からこの間,精神科看護の質的向上をめざしつつ,その時代の要請に応えるべく精神科看護を探求してきた。看護の専門性の確立に向けては認定看護婦・看護士の養成制度を確立し,この2年間の大会は『看護サービス』『知る権利』をキーワードに『21世紀に求められる精神科看護』をテーマとしてきた。今大会は,新たな100年への新しい第一歩として,関連領域との連携,他職種との協働を摸索すべく『21世紀の精神科看護をデザインする』をテーマとした」と述べた。
 一方,総会では協会創立25周年記念事業や記念誌の発行を決定。さらに,「これからは医療と地域を結ぶ地域のネットワークづくりや医療チームの連携がますます重要となってくる……(略)……脳科学の著しい進歩に伴い,精神機能のメカニズムはより解明され治療法も格段に進歩するであろう。その進歩に応えられるよう,私たちは,従来の看護のあり方や理念にとらわれることなく病気や障害を持つ人とその家族および精神的健康に悩みを持つ人や地域社会の人たちに信頼される専門家として精進せねばならない。そのためにも,協会は会員の期待に応えつつ,広い視野のもとに将来を展望し,積極的に事業を展開していきたい」を趣旨とする大会宣言を採択した。

21世紀の精神科看護をデザインする

 末安民生氏(東海大),木越トヨ子氏(宇ノ気訪問看護ステーション)両座長により行なわれたシンポジウム「21世紀の精神科看護をデザインする」には,「臨床看護の立場から」梶本伸一氏(十全第二病院)が,「家族の立場から」川西博之氏(香川県精神障害者家族会連合会)が,また「地域看護の立場から」は仲野栄氏(援護寮まち),「PSWの立場から」は門屋充郎氏(帯広ケア・センター)の4人が登壇。それぞれの立場から,現状を踏まえた上で21世紀の精神科看護のあり方を展望した。
 その中で門屋氏は,これからの精神科看護に望むこととして,「病者を管理するのではなく,疾病を管理するという意識と,医師と対等になれるような,法的に保護された看護法の制定へ向けた努力」をあげた。