医学界新聞

 

第73回日本整形外科学会開催


 さる4月6-9日の4日間,第73回日本整形外科学会が,水野耕作会長(神戸大)のもと,「整形外科20世紀のあゆみ」をメインテーマに,神戸市の神戸国際会議場,ポートピアホテル,他で開催された。

人体の95%が実験室で育てた臓器と取替えが可能な時代に

 今学会では,メインテーマを受けた特別企画「整形外科20世紀のあゆみ-整形外科関連学会の貢献」が,「日本足の外科学会」をはじめとする整形外科関連10学会の学会長により,3日間にわたるリレー形式の講演で行なわれた。また,20世紀最後の学会としての位置づけで,記念講演会も企画。黒川秀氏(同学会理事長・東大名誉教授)による「20世紀の整形外科のあゆみ」と杉岡洋一氏(次回日本医学会頭・九大総長)による「21世紀の日本の医学と医療」の2題が行なわれた。黒川氏は,20世紀に整形外科が果たした役割として,「筋骨格系が人間に対して持つ意味の明確化」をあげる一方,到達できなかった課題として,骨折の防止など「運動器疾患の発生防止」や「身体運動の意味の明示」などを指摘。2003年に21世紀最初の日本医学会総会が福岡市で開催されるが,会頭である杉岡氏は,同総会の基本理念は「人間科学」であり,メインテーマを「21世紀を拓く医学と医療-信頼と豊かさを求めて」にすると述べた。また,「21世紀はバイオテクノロジーの世紀である」として,「2020年には人体の95%が実験室で育てた臓器と取替えが可能になる」と述べる一方で,遺伝子工学の危険性も指摘。さらに,種の絶滅が進むことも予想されていることから,「負の遺産をいかに抑えるかがこれからの科学には問われる」と警鐘を鳴らした。

グローバルな視点からの意見交換も

 なお本学会では,ディベート方式で行なわれた学会前日からの「国際骨折シンポジウム」や,会期中2日間にわたり行なわれた特別企画「国際シンポジウム」をはじめ,整形外科看護国際フォーラム,招待講演(5題),教育研修講演(21題),シンポジウム(9題),パネルディスカッション(13題),ランチョンセミナー,一般演題発表にも英・米・独・加・アジア諸国など各国からの演者が登壇し,グローバルな視点からの意見交換が活発に行なわれた。
 また,時代の流れをとらえ,医療の変革期における整形外科のあり方を論じ合うワークショップは全3題。本国会での成立に向け審議されている卒後臨床研修の必修化に関しては,(1)「整形外科卒後教育の現状と未来」(座長=山口大 河合伸也氏,金沢大 富田勝郎氏)が,予想される医療ビックバンについては,(2)「医療ビッグバンに備えての整形外科最前線」(座長=森整形外科 森康氏,はたのリハビリ整形外科 畑野栄治氏),また本年4月より導入された介護保険に関しては,(3)「介護保険下の地域リハビリテーションの展望」(座長=兵庫県立総合リハセンター 澤村誠志氏,茨城県立医療大 大田仁史氏)が行なわれた。
 なお,次回は明年4月に千葉市の幕張メッセで開催される。