医学界新聞

 

准看護婦養成停止への第一歩に

「全国准看護婦学校教育協議会」が閉会


 さる3月29日,全国准看護婦学校教育協議会(会長=清川美和氏)の閉会総会が,名古屋市の名古屋東急ホテルにて行なわれ,36年に及ぶ歴史に幕が下ろされた。

准看護婦養成教育における歴史的役割を終えたと判断

 同協議会は,准看護婦養成教育の指導権限が各都道府県に委ねられているがゆえに,「学校間の差が生じやすい」として,全国規模での調査研究や情報交換,関係機関との連絡・交渉を行なうことを目的に,1964(昭和39)年に学会組織として誕生した。以降,准看護婦教育の充実に成果をあげる一方,当事者として准看護婦教育が抱える問題点を積極的に発言。1996(平成8)年12月に,厚生省から出された「准看護婦問題調査検討会報告書」における「21世紀の早い段階を目途に,看護婦養成制度の統合に務める」という提言にも大きな役割を果たした。この提言は,その後の「准看護婦の資質の向上に関する検討会」および「准看護婦の移行教育に関する検討会」へ引き継がれたが,前者には同協議会から委員を出し,積極的な発言をしてきた。
 そして,このほど決まった2002(平成14)年の准看護婦教育カリキュラムの改正をもって,准看護婦教育ならびに同会の歴史的役割を終えたと判断。会員総意として自ら協議会の閉会を決定した。
 閉会総会で,清川会長は「長年手がけてきたものを閉じるのはさみしい。しかし,閉会は看護という専門性のある職種に対する理想を掲げての行動であり,看護職としての責任を果たしていく1つの形」とその思いを語った。

新たな局面へ向けての誓い

 また最後の研修会講演を行なった黒岩祐治氏(フジテレビ)は,協議会の閉会に関して,「未来に向かって閉じた」と述べるとともに,「今後ともあきらめないで准看護婦養成停止を勝ち取ろう」と具体的な提案も交えて呼びかけた。
 さらに来賓としてあいさつした田村やよひ氏(厚生省健康政策局看護課長)は,「准看護婦教育ならびに同会が看護の歴史の中で大きな役割を担った」と同協議会の役割を積極的に評価。また久常節子氏(前厚生省看護課長・慶大)は,「思い入れの多い会」と語るとともに,「自分たちの明日からの生活がかかっているにもかかわらず,准看護婦養成停止を訴えた勇気ある組織」と称えた。一方,南裕子氏(日本看護協会長)も,「閉会は看護教育の『統合』に向けての第一歩ともいえる。勇気ある判断に敬意を表したい」と述べた。
 閉会式が行なわれた会場では,長年ともに歩んできた仲間同士が,これまでの思いに涙しながら握手を交わす姿がみられた。また,それは今後の新たな局面に向けての健闘を誓い合う姿でもあった。