医学界新聞

 

准看養成廃止に向け500万人署名運動を

日本看護協会プレス懇談会より


 さる1月13日,日本看護協会(以下,看護協会)主催によるプレス懇談会が,東京・中央区の富国生命ビルにて開かれた。
 懇談会の挨拶に立った南裕子会長は,今世紀に残された看護の課題として(1)介護保険のスムーズなスタート,(2)医療制度改革(診療報酬改定),(3)感染症への対処,(4)医療事故防止の強化,(5)准看護婦養成停止の5つを指摘。その後に担当理事からそれぞれの取り組みが述べられた。

介護保険のスタートに向けて

 (1)に関しては,47都道府県看護協会において,当該行政の介護認定審査会に看護職を推薦し,すでに4県看護協会と1地区支部では県内すべての介護認定審査会に看護職を推薦。また,介護支援専門員研修の実施やネットワーク化も進めるなどの取り組みを強化していることを明らかにした。一方,介護保険実施を目前に控え,在宅でのサービスの早急な基盤整備が求められているが,訪問看護は全市町村平均充足率が65%と整備が遅れている。その中にあって,看護協会は必要な訪問看護サービスが受けられない利用者に対して,ホームヘルパー等の無資格者が医療行為を実施している事態を憂慮。本年1月12日付で厚生省の関連機関(老人保健福祉局長,健康政策局長,社会援護局長あて)に,「(1)ホームヘルパーの業務を見直し,医療行為へ業務拡大するのではなく,むしろ訪問看護にかかわる諸要件を緩和し,提供体制を整えることを優先課題とされるとともに,保助看法の業務の制限に関する事項を遵守されるよう指導されたい。(2)訪問看護事業の促進のため,訪問回数等の規制緩和を進められるとともに,診療報酬などで経営上の裏づけを十分にされたい」を主旨とする「ホームヘルパー等の無資格者の医療行為の禁止の遵守に関する要望」を提出した。
 なお,本年2月22日には「介護支援専門員交流会」を東京で開催し,シンポジウム「ケアマネジメントに看護職の智恵は生かせるか」を行なうと発表した。

市民とともに考える准看護婦問題

 (2)については,先頃厚生省は看護体系を約50年ぶりに4対1(患者対看護職)から3対1へと改正すると公表したが,看護協会は同審議会の中で一貫して1.5対1看護を主張してきた。「看護が手薄になる夜間の2人勤務を10対1にするためには,1.5対1の新設はどうしても必要」と,今後も改善に向けて努力するとした。
 また南会長は,「21世紀の医療に向け,質の高い看護職の養成を進めたい」と述べ,(5)が最重要課題となることを示唆。そのための行動として,看護協会は「准看護婦養成を停止し,看護婦養成の一本化を求める」500万人署名運動を,本年3月までに全国的に展開することを明らかにした。
 この運動は,昨年開催された通常総会決議に基づくものだが,署名運動を通して看護について社会の人々と対話をすることで意見や批判を求め,これからの看護を市民とともに考える機会とすべく「対話型」署名運動として位置づけた。なお,1月28日には東京・原宿の看護協会前で署名運動を実施。東京都看護協会もこの週を署名運動期間と位置づけ,同看護協会前で運動を展開する。また,他県看護協会も独自に運動を展開する予定であり,署名は厚生大臣,文部大臣に提出される。南会長は,「准看護婦問題は看護職だけでなく一般市民の問題でもある。今後のすみやかな看護婦への移行教育に向けて,准看護婦養成停止の時期を明確にしていく」との意向も示した。
 また,同席上において施設内結核対策調査結果および1999年看護職員需給状況調査結果についても概要が示された。