医学界新聞

 

家庭医療学研究会 学生部会発足と夏期セミナー

医学生が家庭医療学を学ぶということ

中村明澄(東京女子医大6年生)


 このたび,家庭医療学研究会(1986年設立)のもとに,「家庭医療学研究会学生部会」を設立することになりました。大学で家庭医について学ぶ機会は,ほとんどないといっても過言ではありません。そこで,家庭医について知るチャンスを作ろうと,この学生部会を立ち上げました。

学生部会設立の経緯

 以前から家庭医というものに興味を持っていた私は,家庭医に関する活動(診療所,在宅医療などの見学実習)を行なってきました。しかし,家庭医療学という枠組みで,その位置づけを学ぶ機会はなく,そのチャンスを探していました。
 6年の夏に第11回家庭医療学夏期セミナー(後で紹介)に初めて参加して,とにかくカルチャーショックを受けました。自分の知識のあやふやさを認識したと同時に,家庭医療学に関する情報の豊富さに驚きました。また文献や教科書といった書物からは学びにくい生の情報を,家庭医として活躍される先生方からたくさん得ることができました。懇親会では,家庭医療学を真剣に考えていらっしゃる先生方の貴重なお話を伺うことができ,心強く思いました。また,先生方と学生の同じ目線での活発な意見交換が終始なごやかな雰囲気の中で行なわれ,非常に刺激を受けました。家庭医療学について学ぶ場所と,同志と知り合う場を探していた私は,このようなチャンスをより多くの学生に持ってもらいたいと思い,この学生部会を設立することにしました。

学生部会の目的

 「家庭医療学に学生の頃からもっと親しみを持ち,情報を交換できる環境を提供すること」,これが学生部会の目的です。「家庭医療学」は,大学の中ではあまり聞き慣れない言葉ではありますが,興味を持っている方は,結構多いのではないでしょうか。欧米先進諸国のみならずアジアの国々では,専門医学と家庭医学の両方を学ぶことが普通となっています。
 「家庭医って何だろう?」,「総合診療部との関係はなんだろう?」,「どこで研修をしたらよいのだろう?」そういった疑問を学生部会の活動の中で解決していきたいと思っています。そして,世界のスタンダードに遅れることなく,「家庭医療学について学生のうちから正しく学ぶ」ことを目標にしていきたいと思います。

第1回学生部会開催

 昨年11月6-7日に,東京・大手町の三菱総研ビルで第14回家庭医療学研究会が行なわれました(2368号参照)。2日目のお昼休みに同じ会場で,第1回学生部会を開催しました。当日は約30人の学生と,先生方の合計50人ほどの参加がありました。まず発起人である私から,学生部会の説明を行ないました。続いて,津田司先生(川崎医大)に家庭医療学についてレクチャーをいただいた後,この学生部会の世話人をお願いしている大西弘高先生(佐賀医大)に,家庭医療学の位置づけについてお話いただきました。その後,サークルから家庭医療学に関する活動報告に移り,研究会主催の夏期セミナーをはじめ,在宅医療や訪問看護などの活動に積極的に参加している学生からの報告がありました。