医学界新聞

 

日本内視鏡外科学会「第2回伊藤賞」および
「第1回カールストルツ賞」授賞式が行なわれる


伊藤賞は内藤氏と多田氏

 日本内視鏡外科学会「第2回伊藤賞」の授賞式が,昨(1999)年11月30日,第12回日本内視鏡外科学会総会・学会評議員会の席上で行なわれた。
 今回の受賞論文には,内藤洋氏(大阪厚生年金病院),他による「腹腔鏡下胆嚢摘出術における局所麻酔を用いた術後疼痛コントロール」(『日本内視鏡外科学会雑誌』〔医学書院発売〕第4巻第1号掲載),ならびに多田真和氏(至聖病院),他による「腹腔鏡下胆嚢摘出術中における腹腔内温と膀胱温の変動について」(同第4巻第4号掲載)の2篇の原著が選ばれた。
 本賞は,わが国における内視鏡下手術導入のパイオニアの1人,故伊藤徹氏(1994年に急逝)のご遺族からの寄付金を基金として設立され,本学会の機関誌『日本内視鏡外科学会雑誌』に掲載された投稿論文の中から最優秀論文として選ばれた論文に対し授与されるものである。
 通例では1篇の受賞だが,審査の過程でこの2篇は同等の高い評価を得ており,また,ともに腹腔鏡下胆嚢摘出術という広く施行されている術式を扱いながらも,それぞれ内藤氏は臨床面での研究を,多田氏は実験的な研究をテーマとして著していることから,甲乙つけ難いと判断された。最終的に本年度は,例外的に2篇同時受賞の運びとなり,両氏には,賞状,賞牌ならびに賞金が出月康夫同学会理事長(埼玉医大総合医療センター)から渡された。
 内藤氏は受賞のあと「本賞をいただき,誠にありがとうございました。現在は心臓血管外科を専門としていますが,今学会においてこの領域の演題が少ないことを寂しく思います。今後はこの領域でも低侵襲手術を手がけ,同様の評価がいただけるよう頑張っていきたい」と述べる一方,多田氏は「名誉ある賞を賜り,光栄の極みです。今後とも内視鏡外科学の発展に寄与できるような業績をあげられるよう努力して参ります」と抱負を語った。

カールストルツ賞

 また,今学会の閉会式に先立ち,日本内視鏡外科学会「第1回カールストルツ賞」(協賛:カールストルツ・エンドスコピー・ジャパン(株))の表彰式が行なわれた。
 本賞は,内視鏡外科手術の発展のために優れた研究成果を発表した会員を表彰し,奨励するために本年度から設けられたものであり,当該年度の学術集会で発表されるビデオ演題を対象として選考される。本年度は井上晴洋氏(東医歯大)「内視鏡下食道切除・再建術(HALS併用)」,寺井章人氏(京大)「腎盂尿管移行部狭窄症に対する腹腔鏡下腎盂形成術の検討」,徳村弘実氏(東北労災病院)「総胆管結石症の腹腔鏡下手術を定着させるには-開腹との比較から」の3氏が受賞。新田澄郎会長より賞状と副賞(海外でのトレーニングコースへの招待)の目録が手渡された。