医学界新聞

 

第7回総合リハビリテーション賞授賞式開かれる


 月刊誌「総合リハビリテーション」(医学書院発行)では,毎年1回,優秀論文を顕彰して「総合リハビリテーション賞」が選ばれるが,本年度(第7回)は,新村満寿美氏,高橋真美氏・他(東京都リハビリテーション病院)による論文に贈られた。タイトルは「看護時間と機能的自立度評価法FIM-FIMの定義に当てはまる看護とその他の看護とを区別して」(同誌26巻2号掲載)。さる10月26日,本賞の授賞式が,東京・文京区の学士会館分館で行なわれた。執筆者代表として出席した高橋氏に,本誌編集委員会を代表して上田敏氏(日本社会事業大社会事業研客員教授)から賞状,楯,副賞が手渡された。

看護とFIMの関係を分析

 受賞論文は,患者に接する看護時間をADL動作の介助時間とそれ以外の看護時間に分けて,患者の機能的自立度評価法FIM運動項目との関係を分析したものである。「いずれの看護時間もFIM得点と関係したため,FIMは全体の看護負担度を推定できる。ただ,ADL動作介助以外の看護時間は処置内容によって変化するために,FIMにおける推定の精度はやや低い」,と筆者らは指摘した。
 「看護時間を,診療の補助行為と患者の看護時間の2つに分けた点は,看護職ならではの発想だ。適切な統計手法を用いてリハビリテーション看護を実証的に分析した点が高い評価を得た」と,論文審査に直接に携わった編集幹事の講評も披露された。
 授賞式に引き続いて行なわれた懇親会で,受賞者の高橋氏は,「私たち看護職の仕事は,患者さんが在宅に戻ると家族が肩代わりすることになる。FIMを指標として,その負担度を明らかにし,介護負担を軽くしていくことに役立てば幸い。この受賞を看護科全体の名誉なことと受け止めたい」と,喜びの言葉を述べた。
 「総合リハビリテーション」誌の創刊20周年を記念して設けられた本賞は,今回初めて看護職の受賞となった。初回の受賞論文は嚥下障害に関連した臨床医学テーマであり,その後スポーツ関連,リハビリテーション基礎医学,心理分野,脳卒中患者の社会適応スケールの作成,小児を対象としたWeeFIMと,毎回異なったテーマの論文が選ばれており,総合を冠した同誌にふさわしい賞に発展してきたといえよう。