医学界新聞

 

第114回医学書院看護学セミナー

「老人の生活ケアとケアプラン」開催


 医学書院が,読者へのサービスの一貫として,無料で実施している「医学書院看護学セミナー」が本年度も4回開催。今年最期のプログラムとなった「第114回セミナー」は,さる10月19日に,埼玉県・大宮市のパレスホテル大宮で催された。
 今セミナーでは,「生活とレクリエーション研究会」のメンバーと特別養護老人ホーム(特養ホーム)「三恵園」の寮母らによる「歩こうよ」と題した歌体操の実演や実技指導に引き続き,「老人の生活ケアとケアプラン」をテーマに,高口光子氏(熊本県・特別ルバー日吉」介護部長)が講演を行なった。
 理学療法士である高口氏は,老人病院での自らの体験から得たエピソードを紹介しながら,「寝たきり老人」をめぐる介護と看護部門との確執や,リハビリの一貫としての新たな試みに対する反撥と達成感などに関して,方言を交えユーモアたっぷりに講演をしたが,これには集まった参加者たちも笑顔のうちに引き込まれていった。
 しかしながら,ある病院婦長の「病院は治療の場であり,生活の場と混同しては困る」という言葉に代表される医療のパターナリズムの指摘,さらに,一癖も二癖もある老人たちと若者のバトルに似たケアの実践の報告の中から発せられた,「看護職は『科学的根拠』という言葉ををよく持ち出すが,自分で見たり,聞いたり,触れたりしたことを,当たり前の生活と感じ取り,ケアのあり方を考え,実践することが看護の原点であり,本質ではなかったのか。看護職はその役割を放棄したように見える」との言葉に,「ドキッ!」とした参加者がいたことも確かなようである。
 なお,医学書院では,明年以降もこのような看護学セミナーを開催していく予定である。セミナー開催の日程などは現在未定であるが,決定次第,本紙および看護系雑誌各誌にてお知らせする。