医学界新聞

 

日本母性看護学会設立総会開催

母性看護学独自の研究成果を蓄積し,
体系的に発展させていくために


 日本母性看護学会設立総会および第1回学術集会が,前原澄子会長(三重県立看護大学学長)のもとで,さる6月26日,三重県津市の三重県立看護大学において,250余名の参加者を得て開催された。
 同会は,その「設立趣意書」で,「近年の母性の健康問題の多様化ならびに複雑化」に言及し,「このような中にあって,多くの職種が共同してこれらの問題解決に向かって努力していかなければなりませんが,母性の健康問題を持つ人々の反応をアセスメントし,適切なケアを提供し,リプロダクティブヘルスをめざした,生活および人生の質の向上に貢献する看護の役割はますます増大していくであろう」と強調した。
 また前原会長は,学術プログラムの巻頭言で,「(わが国の近年の母性看護の発展は目覚ましいものがあったが)先輩看護職の方々の貢献がいかに大きかったかに思いを馳せる時,その評価が正しくなされていないことが悔やまれる。科学的根拠に基づいた看護実践がなされ,行なった実践を科学的に説明し,評価できる術を持ち合わせていなかったことは,学問としての進歩を妨げたばかりでなく,その職業の質の評価にまで及んだことは残念である」と指摘し,「母性看護学独自の研究成果を蓄積し,体系的に発展させていくために,母性看護学会を設立し成長させることは,今を生きる者の責務である」と述べている。
 総会に続く第1回学術集会では,前原会長の設立記念講演「21世紀の母性看護学」,シンポジウム「母性とは何か」(座長=浜松医大 交野好子氏,三重県立看護大 村本淳子氏,演者=(1)文学の立場から:三重県立看護大 山口和世氏,(2)心理学の立場から:三重大 河合優年氏,(3)医学の立場から:三重県中央児童相談所 西口裕氏,(4)看護学の立場から:長野県看護大 吉沢豊予子氏)の他,8題の一般演題が発表された。