医学界新聞

 

第93回医師国家試験――――合格体験記


自分のペースを考えて

古道 一樹(慶大卒)

 皆さんもよくご存知のこととは思いますが,私たちの大学では国家試験勉強を開始する時期が世間一般の大学に比べて非常に遅いと言われています。ということで,あらかじめこれからの文章をお読みになられる方はそのことを念頭に置き,すべてを真に受けずに自分のペースを守ってやるのがよいと思います。

遊ぶことも大切

 私の場合,スタートが遅いと言われている私の大学の中では,勉強を始めた時期はかなり早いほうだと思います(なにせ,勉強のやり過ぎだとかなり周りから非難されましたので……)。だいたい,国家試験の過去問の感じをつかむために『クエスチョンバンク』を始めたのが9月の頭からでした。
 どうせ自分の集中力が続くのは数か月だろうと思っていましたので,夏休みの間は遊びへの未練をなくすためにひたすら遊び,すっぱりとその後に勉強をするつもりでした。が,人間なかなかそううまく切り替えができるわけもなく,9月中はなかなかペースが上がらず集中もできませんでした。周りの人は大体9月の終わりから10月頃に勉強をスタートしており,やはりはじめのうちはなかなか能率が上がっていないみたいでしたので,スタートは自分がこれだけの期間があればOKと思う期間より数週間早くスタートするのがよいと思います。それからは私は質より回数という勉強法を行ないましたので,年内に『クエスチョンバンク』の内科・外科を年内に2周,小児・産婦を1周終わらせ,また『イヤーノート』を参考書代わりに1周読みました(周りからはこのペースは気違い呼ばわれされましたが)。
 正月はとりあえず気合いが入るわけでもないので,寝て,テレビを見て,というような生活を送っていましたが,まあ正月ぐらい遊んでいてもばちは当たらないと思います。残りの1月・2月に内科・外科,産婦・小児,公衆衛生の『クエスチョンバンク』を1周,『イヤーノート』を1周,『アプローチ』のマイナーを1周やり3月にはD問題対策として『クエスチョンバンク』のD問題と『基本手技アトラス』をやり込みました。
 私は問題集ばかりやり,参考書の類はほとんど読みませんでしたので大抵の方とは違う方法だと思いますが,これだけやれば一応国試は合格できると思います。あとはいかに,気分転換をうまくやるかでスキーにいくもよし,友だちと飲むもよしだと思います。なにはともあれ,皆さん頑張ってください!


常に必修問題を意識し,集中力を持続して

李 権二(岐阜大卒)

 医師国家試験は,医師の資格を得る上で最後の登竜門です。まあ大丈夫だろうと思ってはいても,いざ不合格のことを考えると不安でなりませんよね。だからといって,貴重な学生生活最後の時期を受験勉強だけに費やすのはあまりにもったいない。実際,合格された先輩にお話を伺うと,「6割とればいいのに勉強しすぎた」とか,「必修問題がすべて。あとは周りの人と同じように勉強すればよい」といったアドバイスをいただきました。勉強をたっぷりするに越したことはないのですが,必要最小限の努力で合格を勝ち取るにはどうしたらよいか,そのコツを中心に私の受験生活を振り返ってみたいと思います。

必修問題対策

 まず,私の国試の結果はどうだったか。MECに提出した解答によると,合計71%,必修問題88%,禁忌肢12問中12問クリアでした。おせじにも優秀な成績とはいえませんが,合格には十分です。これらの数字の中で,私は特に必修問題の正答率には安心させられました。
 では,必修問題対策に使った問題集はというと,『クエスチョンバンク必修問題』(MEDIC MEDIA),『医師国試対策』(医学教育出版社)の98年11月号から99年1月号にかけての特集「必修・禁忌実戦模試」,そして禁忌KiDs第2版(TECOM)です。『イヤーノート』の「Don't」にも機会あるごとに目を通しました。
 しかし,何といっても重要なのはふだんの病院実習でしょう。私の経験でも,今年の国試問題93D9での腹腔穿刺の部位を答える問題は,岐阜大学第1内科のポリクリで実際に経験した症例で楽勝でした。教授にも逆McBurney点について試問され,強烈に印象に残っていました。

周囲の情報を集める

 周囲の人がどのように受験勉強しているか,ということに目を光らせるのも忘れてはいけません。その点で,勉強会は貴重な情報源ですし,可能であれば他大学の友人にも気分転換をかねて連絡を取ってみるのもよいと思います。私がいつも勉強法の相談をし,私生活でも助言をしてくれた栗田君(三重大卒)は模試でいつも高得点でした。彼は必修問題対策には特に神経を使い,院内院外を問わず救急実習で常に人の生死に関わることがらを勉強したといいます。
 また,国試の1か月ほど前に三重まで彼の勉強法の見学に行ったことがあります。朝は図書館で勉強会,昼からは別の図書館で勉強,夕方は自室でちびちび酒を飲みながら勉強という具合でした。1か所にとどまらないで勉強する彼のスタイルに,集中力持続の秘訣があるのだと膝を打ったものです。加えて,彼自身も日本全国の友人に電話や電子メールで直接話を聞いて,自分の勉強法に取り入れていったそうです。
 国試直前は誰でも受験勉強がマンネリ化して集中力が散漫になりがちです。このマンネリから脱する方法を自分で見つけることが,意外と望ましいラストスパートにつながるのではないでしょうか。国試直前になってどうも思うように勉強がはかどらないと思ったら,私の行動を参考に各々集中力の持続法を見つけてくださいね。

最後に

 合格した友人や先輩からのアドバイスを私の独断と偏見でまとめますと,勉強会で情報交換を心がけ,病院実習では必修問題に絡むことがらを中心に,ペースメーカーとして模試を4,5回受け,進路決定は早めに済ませ目的意識を持ち,まとまった休みには思い切って旅行する度胸が合格への理想的な受験生活ではないでしょうか。最も強調したいことは,国試には国試の勉強法がある,ということです。受験生の皆さん,合格めざして頑張ってください。