医学界新聞

 

「医療教育メディア国際グランプリ'99」の表彰式と
第3回遠隔教育・遠隔医療シンポジウムが開かれる


 本紙第2333号で既報のように,第25回日本医学会総会開催を機に,「国際医療教育メディアフォーラム’99実行委員会」(組織委員長=衆議議院議員,元外務大臣中山太郎氏)が企画した「医療教育メディア国際グランプリ'99」の表彰式と「第3回遠隔教育・遠隔医療シンポジウム」がさる4月6日,東京の東京国際フォーラムにおいて開催された。


「医療教育メディア国際グランプリ'99」表彰式
第3回遠隔教育・遠隔医療シンポジウムより

効率よい医療協力をめざして

 表彰式の挨拶で中山太郎組織委員長は,「21世紀は高度情報通信社会と言われており,わが国の情報技術もそのために大きな貢献をしているが,ソフトウェア技術が欧米に比べて貧しく,そこで利用されるいわゆる“コンテンツ”が十分にできていない状況にある。また,医師としての立場から,ロシアや開発途上国との医療協力にも関心を持ってきましたが,情報技術を活用した優れた医療ソフトウェアによって,効率よい医療協力が可能になることを痛感してきた」と“医療教育メディア国際グランプリ'99”を企画した意図を語り,受賞6作品の代表者に賞状および賞牌を授与。続いて審査委員長でもある堀原一プログラム委員長(筑波大名誉教授・日本医学教育学会長)から,審査の経過報告とダイジェスト版の作品紹介が行なわれた。

Get the Job done together

 また,「第3回遠隔教育・遠隔医療シンポジウム」では,まず尾身茂WHO西太平洋地域事務局長が「WHOの今後について」(司会=中山氏)と題して記念講演。
 尾身氏はその中で,WHOが今後克服すべき課題として,(1)過度の官僚主義(創立時の規則がまだ存在し,煩瑣な手続きを要する。地域事務局長に権限が集中し過ぎるトップダウン方式を排除する行政改革),(2)連携の欠如(機関相互の連携を保つためのPartner Agencyの確立),(3)人的および財政的資源の非効率性(優先順位を絞る),などをあげた。
 そして,“Public Health”に呼応して“Tel-Health”という概念を提唱し,「これを実現するためには,“遠隔医療”や“遠隔教育”が必須であることはもちろんのことであり,皆さんのご指導をお願いしたい」と述べるとともに,「今後は“Get the Job done together”をモットーにWHOにおける業務を推進していきたい」と強調した。

シンポ「遠隔医療と遠隔教育」

 3氏の演者による「インターナショナルセッション」に続いて開かれたシンポジウム「遠隔医療と遠隔教育」(コーディネーター=国立大蔵病院長 開原成允氏)では,坂元昴氏(文部省メディア教育開発センター所長),駒野欽一氏(外務省),杉野剛氏(文部省),野上耕二郎氏(厚生省),牧内勝哉氏(通産省),浅野文昭氏(郵政省),前田知穂氏(京府医大)らがパネリストとして招かれた。