医学界新聞

 

39の学外施設と連携

千葉大が6年次にクラークシップを導入


 千葉大医学部は本年度より第6年次の選択必修科目として,クリニカル・クラークシップを導入する。3週間を1クールとして2クール,合計6週間のクラークシップを6年生全員に課すというもの。学生は「内科と外科」,「放射線科と内科」というように,クラークシップを行なう2つの診療科を選択する。

「力試し」のクラークシップ

 同学のクラークシップは,学内の診療科(18診療科)とともに,旭中央病院,成田日赤病院,松戸市立病院など39の学外施設(69診療科)でも実施されるユニークな試み。今回,協力を得る学外施設は,各診療科からの推薦および,学生からの希望によって選定されたという。同大臨床カリキュラム委員会(委員長:中島伸之教授)のメンバーである高林克日己講師(第2内科)は,「大学以外の医療施設を知るということは医師として大切なこと。また,common diseasesに接したり,総合的な診療のあり方を知るなど,一般臨床の学習効果の観点からも学外施設で学ぶことのメリットは大きい」と指摘する。
 4年次以降のベッドサイドラーニング(BSL)をそのままクラークシップへ移行させた東海大とは異なり,千葉大のクラークシップでは4年次の「臨床入門」(基本的臨床技能を身につけるための週1コマの実習)と5年次のBSLで,ある程度の基本的臨床技能を習得した学生が,一般病院で医療チームのスタッフとしてクラークシップにあたることにより学習の成果を試すという,いわば「力試し」(高林氏)の意味合いが強い。学生からは以前からこのような機会を求める強い希望が出されていたという。

100以上の施設を検討

 当初は,各診療科からの推薦,学生からの希望などから,海外も含め100以上の施設が候補にあがったが,教育の一環として「教員の目の届く範囲」にとどめるため,39施設に「絞った」という。「木目細かく教えていただくことを考えると,お願いできるのは一施設あたり2名が限度。その結果39施設(69診療科)という数になった」と高林氏は話す。
 現在,同大は菅井桂雄助教授(集中治療部)を中心に,学外施設におけるクラークシップのプログラムの策定・調整を進めている。