医学界新聞

 

准看護婦「移行教育検討会」が報告書の作成へ


 1996年12月20日付の厚生省「准看護婦問題調査検討会報告書」を受けて,審議が行なわれている「准看護婦の資質の向上に関する検討会」および「准看護婦の移行教育に関する検討会」の2つの検討会が,3月9,10日の両日相次いで開催された。
 本号では「第10回 移行教育に関する検討会」(10日開催)に提示された「検討会報告書(案)」の概略を伝える。なお,報告書(案)は,(1)移行教育の趣旨,(2)移行教育の対象者と実施期間,(3)移行教育の実施機関,(4)移行教育における内容と時間,(5)移行教育と国家試験,(6)学習支援体制,(7)移行教育の実施に向けて,の7部から構成されている。また,報告書の作成は次回以降に持ち越されたが,本紙では両検討会の報告書が公表され次第,詳報の予定である。
【報告書(案)より】
 (1)では,「准看護婦・士が移行教育を受講することは看護の質の向上になり,国民が望んでいる質の高い医療の実現に大きく貢献すると考えられる」と明記,本検討会設置趣旨にも触れている。(2)では,「就業経験10年以上の准看護婦・士を対象」とし,「移行教育の実施は時限措置として5年間」で,該当者はこの期間中に移行教育を受講できる。また「就業経験6年以上の者は,実施期間中に経験が10年となり受講が可能」なことから,移行教育の対象者は11万7000人になると推定してる。
 (3)では,理論学習は放送大学の活用を原則に,技術学習は「移行教育所(仮称)」(新設・既存の養成所等を利用)を設置して行なう。(4)については,教育時間は理論学習660時間,技術学習270時間の930時間(31単位)を明示している。
 (5)では,「同一の看護婦国家試験として行なうが,試験問題については,移行教育の内容も考慮して行なう」とされた。
 なお今検討会では,日本看護協会側から,「准看護婦養成停止を前提としている協会の主張を付記すべき」との意見から,「養成停止については重要ととらえながらも,検討会開催の趣旨とは違うことから論議がなされなかった。事実経過として,付記してもよいのではないか」などの論議が行なわれた。また,この席上で,「日本看護協会と日本医師会の代表が,別な正式な場で,日本の看護制度について話し合う」用意があることを医師会側委員から表明された。