医学界新聞

 

第2回日本看護診断学会研修会が開催される


 日本看護診断学会研究推進委員会(委員長=三育学院短大 江本愛子氏)は,昨(1998)年3月に,初の同学会による研修会を開催(東京・聖路加看護大学)し定員を大幅に超える申込みがあり盛況であったが,さる2月18-19日の両日,第2回研修会が,「看護の質の向上のために-正しく学ぼう看護診断」をテーマに,昨年同様,東京の聖路加看護大学で開催された。

慢性呼吸不全患者の事例から学ぶもの

 360名を超える参加があった本研修会は,「看護診断をすることの意義や目的を理解するとともに,診断プロセスの思考方法の学習を,そのプロセスがどのようにケアにつなげられるのかについて学習することもめざす」ことを目的として開催。
 午前の江本氏による講義「基本から学ぶ看護診断プロセス」では,看護診断の歴史的発展と意義やカテゴリーと構成要素,また記述方法,アセスメントの枠組み,看護診断プロセスなどが解説された。引き続き,参加者は午後の演習の導入として,「慢性呼吸不全患者の看護事例」(48歳女性。30歳代に気管支拡張症を発病し,半年前から在宅酸素療法に。その後,呼吸不全の悪化がみられ,検査・治療の目的で入院。在宅酸素療法をはじめてからは家政婦さんが身の回りの世話をしている。呼吸不全が回復しないのは,治療に問題があるのではないかとの不信感を抱いている)のビデオを視聴。患者が抱える健康上の問題を,ゴードンの「健康機能パターン」を活用し,情報を整理する作業を行なった。

グループごとに看護診断プロセス演習

  午後からは小グループに分かれ,この患者をめぐって「アセスメント-看護診断プロセス演習」(コーディネーター=東海大藤村龍子氏,日赤秋田短大 大島弓子氏)を実施。クラスタリング(情報のグループ分け)の後に,グループごとにP(Problem:看護診断ラベル)E(Etiology:関連因子)S(Sign:診断の手がかりとなった情報)で記述を行ない,その後各グループごとに確定した看護診断が発表された。
 発表では,「ガス交換の障害」「非効果的気道浄化」「不安」「無力」「健康維持の変調」「個人的非効果的コーピング」「非効果的治療計画管理」「活動耐性の低下」「意思決定上の葛藤」などが看護診断としてあがったが,藤村氏は「正解はない」としながらも,模範解答として,入院時,2日目,退院(14日目)時のPESを提示し,そのプロセスも解説した。
 参加者の熱心な討議や講義を聴く姿勢からは,臨床の現場や教育の中に,看護診断が浸透している様子がうかがわれた。なお,第5回看護診断学会(会長=藤村氏)は,本年7月17-18日の両日,横浜市のパシフィコ横浜で開催されるが,「健康機能パターン」の作成者でもあるM. ゴードン氏が来日講演を行なうこともあって,今から数多くの参加者が見込まれている。参加申込み,問合せは下記まで。
◆第5回看護診断学会事務局
(有)アンサー(京都市中京区)
TEL(075)211-0008/FAX(075)221-5626