医学界新聞

移植医療 それが「実験」ではなくなった日


 臓器の移植とは,非自己を自己のものとして受け入れることであり,いかに臓器の拒絶反応を抑えるかということと深く関わっている。移植医療の歴史とは免疫抑制剤の歴史であるといっても過言ではない。
 1972年にボレルが免疫抑制効果を発見し,1978年にカーンによって臨床応用されたシクロスポリンは,移植後の救命率を大きく改善すると同時に,移植後の患者のQOLを改善した。それまで「実験」だった移植が「医療」として確立されたのだ。
 さらに1990年代には,タクロリムスなどの多数の有効な免疫抑制剤が発見・開発され,臨床応用されるに至っている