医学界新聞

感染症の世紀


新型インフルエンザウイルスA/HongKong/68(H3N2)のHA遺伝子の導入経路
(図=喜田宏氏 北大・獣医学)

インフルエンザウイルスA/シンガポール/1/57(H2N2)の粒子を酢酸ウランでネガティブ染色したもの。多型性のウイルスで,粒子の周囲にHAまたはNAの突起が見える。インフルエンザウイルスは8本に分節した遺伝子を持ち,新しい抗原性を持ったウイルスを作り出しやすい

 抗生物質の発見などにより,一時はコントロールされたかのようにみえた感染症は,開発による環境の変化,人やものの高速大量移動などにより大きな変化を遂げた。その状況は,世界を震撼させたエイズやエボラ出血熱,MRSA等の抗生物質の利用による薬剤耐性菌の増大,またかつてから存在した感染症が別の展開をみせるなど,多様な形で現われている。感染症に対する危機管理の重要性が問われている