医学界新聞

細胞生物学 細胞内物質輸送の分子機構


 これまで明らかでなかったニューロンの軸索の内部構造を,急速凍結電顕法でナノメートルレベルまで鮮やかに描写したことから,驚くべき事実が明らかとなった。ニューロンの細胞骨格と,微小管をレールにみたてて物質輸送を行なうモーター分子の存在が,1枚の電顕写真から抽出されたのである。これは脳科学,細胞生物学,分子生物学,遺伝子ターゲティングなど,多彩な生命科学研究の統合がもたらしたものである。
 細胞生物学は個体から組織,細胞,遺伝子とミクロの領域へ向かってきたが,現在は「細胞から個体へ」と,その逆方向へも進み始めている