医学界新聞

臨床医学におけるEBM実践

第3回帝京-ハーバード・シンポジウム開催される


 さる10月9-10日の両日,東京の池袋サンシャインプリンスホテルおよび帝京大学医学部臨床大講堂において,第3回帝京―ハーバード・シンポジウムが開催された。両学は1993年に帝京-ハーバードプログラムを発足させ,双方の研究者による共同研究,若手研究者の派遣,交換講義等さまざまな活動を行なってきた。本シンポジウムはその一環として開催されている。今回は「Evidence-Based Medicine-医療と保健における評価」をテーマに,英米からデビッドL. サケット氏(オックスフォード大教授),リチャードL. ヒムズワース氏(ケンブリッジ大教授)をはじめ,この分野の著名な研究者を招聘し,Evidence-Based Medicine(以下,EBM)の推進をめざして討議を行なった。

サケット氏が口演

 臨床疫学からEBMまで常にこの分野をリードしてきたサケット氏は「臨床医学におけるEBM」を口演。
 EBMの基本的な考え方を述べる一方,日常臨床中で読書に割けるごくわずかであり,効率的なEBM実践のために(1)EBMサマリー(自分たちで1頁にエビデンスをまとめたもの)やシステマティックレビュー(コクラン・コラボレーション・リポートなど)の活用,(2)二次的な出版雑誌(『Evidence-based Medicine』や『ACP Journal Club』などがその代表。発表済みの論文のなかで妥当性があると判断されたもののみ集め,さらに臨床にあてはめられるものに絞って掲載している)の活用など,実践的な方法論を紹介した。
 本シンポジウムは,両日とも多くの聴衆を集め,好評を得た。なお,医学医療への貢献を評価し,シンポジウムの一環として授与されるハーバード大学沖永客員教授には日野原重明氏(聖路加国際病院理事長)が選ばれ,記念講演が行なわれた。