医学界新聞

浜松医ゼミに参加して

鹿沼 優(岐阜大医学部2年)


 年間を通じていろいろ医ゼミの取り組みに関わっていますが,やはり夏の本番は規模も内容も充実度が高く,本当にたくさんの収穫がありました。今回の浜松医ゼミでは,初めて参加してとにかく新鮮だった昨年の愛媛医ゼミとはまた違った魅力を味わうことができました。つらいこともありましたが,あれから1年,僕自身かなり成長しているのだと実感できて,頑張ってきてよかったと感じています。参加した人それぞれにそれぞれの“医ゼミ”があると思いますが,僕の体験した“浜松医ゼミ”を少し紹介したいと思います。

歴史的な視点から今回のメインテーマを考える

 僕は主にメインテーマのプロジェクトと,分科会作りの2つに関わってきました。今回のメインテーマ「21世紀の医学・医療をともに切り開いていこう」に関しては,導入部分「はじめに」の章のレポートを作るために,自分なりにこのテーマについて考えを深めてみました。その過程で,医ゼミがこれまで「医学生・医系学生の要求と,患者さんや国民の期待や願いに応える」という方向で発展してきたことや,メインテーマの歴史的な流れを把握できました。
 今回のメインテーマは突然の思いつきではなく,これまでの歴史を踏まえた当然の流れとして出てきたものです。これまで医ゼミではさまざまな医学・医療(または広く社会)の問題を扱い,必要に応じて社会に訴え,実際に行動して大きな成果を出してきました。その中で,これらの問題の本質的部分が見えてきたことが昨年の到達点と言っていいと思います。昨年のメインテーマである「科学性と人間性」という視点で医学・医療を捉えると,何が根本的な問題なのかはっきりと見えてきます。そして今回はこうした大きな視点をもとに展望をもって,ともに行動していこうと提起したのです。
 「はじめに」の章ではなぜこのテーマを扱うのか,その中身はどういうものかを明確にするために議論を重ねました。ここで一致したことを誰にもわかりやすい形で文章にするのは大変困難な作業で,実際には伝え切れなかった部分もあり,悔しい思いもしました。しかし,議論を通して自分の考えがまとまったり,深まったり,新しい発見があったりして,「独りでは得られないことをみんなでやり遂げた」という気がしています。とても貴重な体験でした。
 そして,「ともに切り開く」ということを考えた時に,「歴史は創造しうるもの」という視点が重要でした。歴史を振り返ってみると,社会の発展は「より多くの人々がより幸せになる」方向にあり,またこの発展はたくさんの自覚的な人々の「歴史をともに切り開く」行動によってもたらされたことがわかってきます。
 医学・医療のあり方も固定的ではなく,私たちが創造していくことのできるものなのです。医学生・医系学生はこれからの医学・医療の担い手としてこのことを真剣に考えていかなければならないのです。そのためにも,この医ゼミにはもっともっと多くの人たちに参加してほしいと思います。ともに学んで行動していきましょう。来年のメインテーマはどう発展していくのでしょうか?とても興味あるところです。
 来年といえば,岐阜が'99医ゼミ主管に立候補しています。浜松医ゼミが終わって間もないのに来年の医ゼミがもう実際に動き出そうとしているのです。来年はもっと多くの学生に望まれる,そしてもっともっと多くの人々から求められる医ゼミをめざしていきたいですね。
 僕個人としては,また国際保健の分科会を成功させたいと思っています。今回,呼びかけに応じて一緒に分科会作りをしてくれたみんな!本当にありがとう。準備不足の中を工夫して,今年も独自の分科会をできたのはあなた方のおかげです。この分科会がやがて「国際医ゼミ」の復活につながり,国際保健で活躍するたくさんの学生達にも望まれる医ゼミが実現したらいいと思っています。
 また来年もがんばろう!
 最後に,浜松現地実行委員のみなさん,また,全国実行委員のみなさん,おつかれさまでした。