医学界新聞

医療・看護における人間工学を考える

第39回日本人間工学会大会開催


 第39回日本人間工学会大会が,さる5月16-17日の両日,福田忠彦大会長(慶大教授)のもと,神奈川県藤沢市の慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスを会場に開催された。同学会の会員は2072名,社団法人化をめざすとともに,人間工学専門家資格認定制度の検討をはじめ,看護人間工学部会では,会報の発行や公開研究会・講演会などを開催している。
 今大会では,医療・看護部門の一般演題発表9題をはじめ,精神作業,高齢者,バリアフリーなどのセッションで,過去最高数の発表が行なわれた他,特別講演(1)「環境情報学と人間工学」(慶大政策・メディア研究科委員長 相磯秀夫氏),(2)「やさしさの根源」(東女医大教授 仁志田博司氏)や,シンポジウム,ポスターディスカッションなどが企画された。

医療・看護部門の発表から

 一般演題で岩崎亮二氏(横浜南共済病院)は,「外来診療システムにおける効率的運営に関する研究」を発表。患者からの待ち時間,診療時間などをアンケート調査を実施したところ,患者の8割以上が「長い」と感じているものの,「仕方がない」と思っていることを数値的に明らかにした。なお,その後の予約管理システムや分散会計システムの導入で,長いと感じている者が32.8%まで減少したこと,また待ち時間に何もしていない中高年の患者が最も「長い」と感じていることを実証した。
 また鈴木玲子氏(東女医大看護短大)は,「血圧測定技術の習熟に関する研究」を発表。血圧測定教示の5か月後に学習の強化を実施したところ,「マンシェットをはずす」動作が手早く行なわれるようになったこと,マンシェットの巻き方が動脈の走行や触知部位を意識した巻き方に改善されたこと,自己学習では改善されなかった測定値を正しく読み取ることができるようになったことなどをあげ,正確な測定方法を身につける有用性を示唆した。