医学界新聞

平成10年度日本看護協会通常総会開催

21世紀の看護めざし新たな決意示す


 日本看護協会〔見藤隆子会長,会員数46万1942人(1998年3月31日現在)〕の平成10年度通常総会が,さる5月20-22日の3日間,東京の国立代々木競技場体育館で開催された。本年度は,昨年と同様に初日午後から2日目までを本総会とし,3日目に保健婦・助産婦・看護婦の各職能集会が3会場で開かれるという日程で,全国から約6200人が参集。平成10年度スローガン,事業計画,予算などの審議や任期満了に伴う役員の改選が行なわれた。また,長年の懸案事項でもある准看護婦問題に関しては,「准看護婦養成停止に向けた総会決議」を行ない厚生省へ実現を求める陳情を行なった。


准看護婦養成停止に向け強い姿勢

 開会にあたり見藤会長は,「世界規模の保健・医療・福祉の変化の中で,レベルの高い看護が求められ,看護教育制度の向上が進んでいる。また,患者本位の医療の構築へ向け,情報公開やカルテ開示の動きも盛んである」と,今日の看護と医療を取り巻く状況を概説し,「看護の質の向上と不可分な准看護婦養成停止の問題に対しては,日本看護協会(以下,協会)の重要事項として取り組んでいる。厚生省は准看護婦養成に関し『准看護婦の移行教育に関する検討会』『准看護婦の資質の向上に関する検討会』の2つの検討会を本年3月に開始したように,その成果もあげつつある。私たちは“2001年までに准看護婦養成停止を”という決意で,1歩も引かない」と准看護婦養成停止へ向けての強い姿勢をあらためて強調した。
 なお,総会初日には協会長表彰,名誉会員の推薦が行なわれ,平成9年度事業報告と平成10年度の提出議案に対する説明の後に,改選役員の投票を実施。投票の結果,第一副会長に千田徳子氏を選出した他,職能および常任理事,監事,地区理事,職能委員の新旧交替があった。
 2日目には,提案議題の審議などが行なわれ,平成10年度のスローガンとして,(1)組織の力を結集し政策決定に看護職の声を反映させよう,(2)看護マンパワーを充実し社会の期待にこたえよう,(3)准看護婦制度の廃止に向けて2001年までに准看護婦養成停止を実施しよう,(4)看護職の資質向上のために生涯学習を推進しよう,(5)訪問看護を推進し地域看護を充実させよう,(6)LO看護職員条約の批准と勧告の適用を促進させよう,の6項目が採択された。
 また,平成10年度の事業計画としては,(1)会員サービスの充実と都道府県看護協会との連携を強化する,(2)准看護婦養成停止に伴う諸問題に対する取り組みを強力に推進する,(3)生涯学習事業を推進する,(4)専門看護師・認定看護師の認定を推進する,(5)「訪問看護事業プロジェクト500」を推進する,(6)「先駆的保健活動」を強化推進する,(7)情報ネットワークの充実を図るの7項目を重点事業に掲げ,協会の組織強化や運営,政策,看護教育,看護実践などに関する具体的な事業を決定した。
 特に議案「看護制度改正推進」に関しては,(1)看護婦養成制度の一本化へ向けての具体的な活動(准看護婦問題調査検討会の提言を早期に実現するよう関係省庁に対して働きかける,移行教育体制の整備促進等),(2)看護基礎教育の大学化の促進(今年63校になった看護大学をさらに増やすこと),(3)保健婦助産婦看護婦法の改正促進を事業内容として決定した。

准看護婦養成停止に向けた総会決議を採択

 さらに,「平成8年12月の厚生省『准看護婦問題調査検討会報告書』において,関係者合意のもとに,21世紀初頭の早い段階を目途に看護婦養成制度の統合に努めることが提言された。報告書に基づき准看護婦養成に関する2つの検討会が発足したが,准看護婦養成停止という前提が明確にされていない」との問題意識から「准看護婦養成停止の時期を明確にし,統合に向けた施策を強力に推進すること」を内容とする総会決議を執行部が提案。審議の上採択され,高橋美智常任理事を団長に総会の名において陳情団を編成し,厚生省に決議内容の実現を求める陳情を行なった。