医学界新聞

看護婦学校養成所(2年課程)の指定基準改正へ

准看護婦に関する2つの検討会が相次いで公開開催


 本紙2283号で伝えたように,厚生省は1996年12月の准看護婦問題調査検討会での報告書を受けて,本年3月に准看護婦の資質の向上に関する検討会(16日),准看護婦の移行教育に関する検討会(19日)を開催し座長を選出,4月下旬,公開による2回目の検討会が相次いで開催された。

放送大学での履修を示唆

 20日に開催された准看護婦の移行教育に関する検討会(座長=東海大医学部長 黒川清氏)では,1回目で要望された「看護婦と准看護婦のカリキュラムの違い」に関して,比較表を提示し,厚生省側から具体的な説明があった。
 また移行教育にあたっては,(1)就業を前提として実施,(2)准看護婦の実務経験を配慮した問題解決型の社会人教育,(3)実務経験に応じた実習の免除を踏まえながら,看護婦資格取得を希望する准看護婦に対して,就業を継続しながら実践的で凝縮した看護婦教育の実施を基盤に検討することを合意。教育方法としては,理論学習では放送大学を活用して自宅で学習できるプログラム,全国均一的な教育システム,技術学習では放送授業に連動,補完する形の看護技術学習,場としては既存の大学,短大,養成所を活用することなどが議論された。
 特に,放送大学を利用した学習の可能性については集中的な議論が行なわれた。「放送大学での検討の余地は」との質問に対し,嘉冶元郎氏(放送大学副学長)は「放送大学の建前は生涯教育。放送事業枠は現在いっぱいであり即答できないが,社会のニーズがあれば考えたい」と回答。
 また,放送大学では実習はできないなどの限度があり,放送大学だけではない多様な教育方法が必要としながらも,理論学習は放送大学がベストとする意見が多く,専門家による大学教育のプログラム作成をする方向性が確認できた。これらに関して厚生省健康政策局の久常節子看護課長は,「放送大学出身者からのヒヤリングを行なう。実習は別施設で行なうなど前向きに考えたい」と述べ,放送大学を利用しての移行教育の可能性が示唆された。
 その他,「准看護婦の何%が正看護婦をめざしているのか」や,「仕事と勉学の両立に自信がないとする者も多い。受講者を増やす意味でも具体的な支援システムの構築を」など委員からの意見があった。

2年課程新カリは平成11年4月から

 一方,准看護婦課程および看護婦2年課程のカリキュラムや同指定基準の改正を検討する,准看護婦の資質の向上に関する検討会(座長=山梨県立看護短大学長 松野かほる氏)は24日に開催。平成8年3月の「看護職員の養成に関するカリキュラム等改善検討会」でのカリキュラム改正案および2年課程の指定基準改正案が資料として提出され,新設の「在宅看護論」「精神看護学」などについての解説を行なった。
 検討会では,主に指定基準改正案について論議。「専任教員は専門分野7領域(基礎,在宅,成人,老年,小児,母性,精神)ごとに1人ずつ配置する」との専任教員配置の基本的な考え方をめぐり,厚生省案の7名(教務主任を含む)とするのか,3年課程同様に専門領域7人に加え教務主任1名の8名とするのかについて白熱した議論となった。「教務主任の業務は複雑であり,専門領域との兼務は難」「実習に出る時は人数が不足する。8名は必要」との意見が看護系委員から続出し,一時は「8名」でまとまりかけたが,結局は案通り7人で合意した。なお,学生数増に伴う配置数は,定員80名を超える場合には学生30人をめどに専任教員1人を配置することも同時に合意。具体的には1学級(40名)の場合,現行3名から7名へ(ただし当分の間5名,施行後5年間は3名),2学級(80名)では,同様に10名,8名,5名,3学級(120名)で13名,11名,7名となっている。
 さらに,病院以外の実習施設として,診療所,訪問看護ステーションなどに加え,精神保健福祉センターを含めた「等」の表記が追加。またフリートーキングでは,「在宅医療,移植医療が進む中では倫理が重要となる。倫理の明記を」との意見の他,「教員の質も問題」とする意見もあったが,新カリキュラム導入に向けて動きだしたことは確実である。
 なお,准看護婦制度の見直しに関するコメントは両検討会ともされなかった。